プラスチックのカタナ

 うーん、恐ろしいことにCGとばかり思っていたカタナが本物になっちゃった。
 最初に、スズキがこれを出した英断は認めてる。でもあのカタナだけに、このカタナは…批判するわけじゃ、いや、批判だな。やっぱり。これは。

 決定のプロセスがよくわからないんだけど、デザインが若すぎて「無駄な線が多い」ってのが第一印象。激しくバブリィなデザインのVmax乗りが言ってますよ。

イメージ 1
写真は本文とは全く関係ありません。とある庭園の、今日の紅葉。

 まあ、カタナなんだから、一本スパッと切り込むまでは許せる…スパッとラインが通ってないよね、あのタンクの切れ込みは。アッパーカウルとタンクカバーの接合部でただの空気抵抗になっている。そこからサイドに垂れるあのプラスチックの造形の意味は何なのだろう。一応前のカタナはスイッチとかレバーとかそれなりの理由があった。あれを見ると、プラスチック製の戦闘ロボット玩具を(〇ンプラより角の丸い、幼児向けテレビの奴)想起してしまう。

 今月号のバイク雑誌はインターモトの特集が多いのだけど、カタナと他のバイクの違いは、「装飾」と「機能美」だ。
 海外のオートバイには頭の上にクエスチョンマークが出るデザインも多いけど、それでもそのデザインを構成するものは金属であり、機能がある。かの国の方々はそれに自らの歴史を重ね、ああいったものが生まれるのだろう。しかし、このカタナはただのプラスチック「しかない」。
 カタナ復刻版の前の失敗作…Ⅲ型、あのリトラクタブルヘッドライトの奴に懲りたのか、メーカーの主体性のなさが、そう感じさせる。
 因みに、今回のカタナは KATANA 3.0 CONCEPTと言うコンセプトバイクからの発展形とされているが、実際はversion 4.0と言うべきものだと思う。KATANA2.0は星型ホイールを廃した、GS1100SDの系譜で、3.0が、あの失敗作。

 私は昔いた会社の仕事を通じて、いわゆるデザイナーの人と「かすかな」接触があった。まあ、その時感じたのは皆に「これだー!」と(意味も無く)叫ぶのがデザイナーの仕事で、ごてごて理屈を整えるのが宣伝屋の仕事。

 商品的にはちょっと前まで売れていたカワサキのニンジャ1000(ZX-10シリーズじゃない方ね)に対するカウンターかな。そもそも二世代前のエンジンを積んだこのバイクのどこがキレてるのか。限りなくアップなハンドルは、もうK察の手間は取らせませんよ、って最初からバンザイしてる。排気のタイコがデザインのかけらすらない醜いただの缶。そこから出ている排気口の段付きカバーのデザインに至っては目をそらすしかない。

 そう、マフラーワークは重要だ。Vmaxも巨大なカブトムシみたいなやつを持っている。どうして国産はあのタイプにこだわるのか。ドカの芸術的なパイプワークを見習えとは言わないが、本当に小さくならないのかあれは。カタナのそれに至っては、作りかけで覆うことを諦めたようなわけのわからないプラスチック(?金属)の板が左右にネジ止めされている。アンダーでもサイドでもないカウル。嘘でもいいから空力部品って意地を見せて欲しかった。デザインの跡がないタイコ、四輪の流用じゃないよね。外車はそこを隠さなくてもみっともなくならない。
 バイクの底にタイコを置くと、エンジンが上がる。重心があがる。コーナーでの挙動が遅くなる。そして燃料タンクが小さくなる。容量12Lって。

 昔のカタナより、ヤマハのPHAZER、FZ 250を思い浮かべるのは私だけだろうか。

#でも、あの小さなスクリーンは、Vmax乗りには羨ましい。