中華カスロムの拾い方

 ここで言う「カスロム」とは何かの「カスタムロム」ではない。文字通り「カス」な「ロム」、端的にはちゃんと動かないフラッシュロムのことである。
 
 中国大手の通販会社Alibabaの個人向けWEBサイトAliExpressから、これまで様々な物を購入してきた。このサイトは国内大手よりも品揃えが豊富で、特に電子回路系の部品とかデバイスは安価だがそれなりの品質の物(笑)が豊富に検索できる。

 だがいくら大手とは言えそこはお国柄、偽物とチート物は普通に横行している。しかもちゃんとした物は必ずしも国内より安いとは限らない。そして今回の対象であるSD (micro SD)カードは私が購入した物は「全滅」、つまり全て不良品であり、またUSBメモリも例外なく「全滅」である。まあ、容量対国内価格比で二倍あるから「今度くらいは…」と言う甘い罠に懲りずにハマった結果である。

 ついでに言うと、ここで国内の半値以下で売っているヘッドフォン類も偽物である。中華通販は決してお勧めできないし、何よりも悪意を持った偽物メーカーに金が入ることに腹が立つ。ただ、AliExpressの名誉のために付け加えておくと、彼らが店子に課すEscrowサービスはクレジットカードに課金するけど店子には利用者が受け取りを確認した、と設定するまで金を渡さない(期限はあるが)と言うものであり、また、店子には利用者からの評価(星幾つ、とか)に関してかなり圧力をかけていてくれるので、不良品への対応はそれなりにマシな方だ。どうも中華な人々は、やっていることと裏腹にこの評価のような体面には非常に気を遣うらしい。
 尚、悪いものを売った店には情け容赦なく星1つを付けるのが世の中のためだ。ほぼ全ての店が「ちゃんと交換するから星上げてくれ」と言うが、「(再評価期限内に)代品を送ったら上げてやる」と言って交渉しよう。結局国際便で返品するのに送料を取られるから、基本は「交換」でなく「代品」請求である。交渉はAliExpressなら専用の連絡画面を使う。
 そうすれば諦めて星ひとつを受け入れる店もあるが、不良品を送らなくても代品を送ってくれる店もある。前者だった場合は泣き寝入りするか、AliExpress側にメールのccでも入れてチクる。後者のような店には日本人の正義のためにちゃんと不良品を返してあげよう。中華の人々だってまじめな人はたくさん居るのだから。

 脱線した。
 不良品と言ってもウントモスントモ言わない完全に壊れたものは無く、全て「チート物」と言うことになる。メモリの容量を大きく書き込み、実メモリは少ししか実装しない。その結果、実装メモリ以上のファイルを書き込もうとすると最初は(遅いけど)調子よく書き込んでいくが、ある時点からコピーのプログレスバーは一向に進まず、それこそウントモスントモ言わないようになる。長らく待ってもウインドウズから「駄目でした」だったか「ディスクエラーです」と言われるだけである。更にそこからlow levelフォーマットでもしようものなら半日を棒に振る。因みにクイックフォーマットは何事もなく終わるが、元の状態に戻るだけである。
 で、これらのメモリをゴミ箱に入れる前にちょっと考える。
 あまり質の良いものではないだろうが、そこには幾ばくかの量のメモリーが搭載されていているのは確かで、そこを再利用できないだろうか。まあ、貧乏人の発想である。

 写真のmicro SD、表示は64GBのClass10で、韓国某大手メーカーのロゴが描いてあったが多分偽物だろう、使ううちにそのロゴが消えてしまった。そこに1GB程度のファイルを1個ずつコピーする。この品物の場合、8個までは遅いながらもちゃんとコピーできた。つまり8GBの容量は期待できると言うことだ。
イメージ 1
容量も、クラス表示も全くのデタラメである


 で、そこらから正常品の(笑)8GBのメモリーを取り出して中身をddでイメージコピーする。
 私がコピーした8GBのメモリーはRaspberry PiでOSMCをインストールして使っているものである。メディアのデータは外付けのUSB HDDに入れてあり、micro SDはOSとアプリケーションしか入っておらず、日本語化しても8GBでスカスカである。
 Windows上でddコピーするには、Raspberry Piな方々は何故だか"Win32 Disk Imager"というフリーウェアを好まれるようだが、私はシリコンリナックス社の"DD for Windows"にいつも世話になっている。まあ、管理者モードで起動し、ファイル選択時にAll Files(*.*)を指定する必要があり、ちょっと間をおくとそれを忘れて戸惑うことになるのだが。

 そうやって作ったディスクイメージファイルを、先ほどのチートSDに同じソフトで書き込む。これで残りの実際のメモリーが無い部分にはアクセスされない縮退状態になるわけである。無論、アクセスするように操作、再フォーマットすれば駄目である。
 念のため、PartitionWizardなどのディスクパーティションツールで、残りの領域に何かしらの明確なパーティションを設定していれば気休めになる。でもそこをフォーマットしてはならない。
 Raspberry PiにインストールできるOSには、初期イメージは小さくても初回起動時に最大までパーティションを広げるようになっているものが多いので、カスロムを最初からインストール対象とすることはできない。

 で、そのイメージをコピーしたカスロムをRaspberry Piに挿して起動させると、アクセスが遅いせいか起動に時間はかかるものの、ちゃんと立ち上がった。メモリーアクセスを要するタスクが動くともさもさするが、何か映像を流し始めればさして影響はない。クロックアップをしないModel B+ (2ではない)のラズパイで、映像視聴時の負荷は25%前後である(MPEG2のハードウェアーキーは設定している)。今のところSSH接続とか、apt-get系のアップデートも何ら問題はない。
#映像のストリーミングではどうなるかわからない。

 まあ、新品のmicro SDでもLINUXのようなパーティションを作ったり消したりしているとあっさり壊れることがあるので、再生容易な用途にはカスロムでも使い道はある。上記のほかにも電子ブックリーダーやアンドロイドの外挿しROMとか。デジカメにも使えるだろうけど、私の場合は結構頻繁にデジカメでメモリ初期化をするのでそれはやめている。

 同じ方法でUSBメモリも救済できると思うが試していない。今時、小容量のUSBメモリにはあまり用が無いからだが、誰か試した人がいたら教えて下さい。

 まあ、だまされた人間の悪あがきかな。この記事は。