Banana Pi M2+を試す

 私はラズペリーパイを四個持っているが、主な目的はMathematicaを使用するためであり、新しいModel B+が出るたびに速いものが欲しいと買い直してきた結果である。流行のIoTとかに絡む電子工作の一環としてのLINUXボードなら更に安い幾つかの選択肢があるのは認識していた。ラズパイは職場と自宅用にと初期のB+は二台、RP2とRP3は一台ずつあるので、何かをするならそれらで十分だったのだが…
 AliExpressを漁っていたらOrange Piなるラズパイ互換機があって、そのModel Zeroとか言う省スペースモデルに拡張カードを挿し、更に外側をほぼ立方体のケースで覆ったものが、昔のSUN Microsystemsのアプライアンスサーバ(その昔、Cobalt Cubeとか呼ばれていた青い奴)を彷彿とさせたので俄然物欲が湧いてしまった。で、実際に購入しようとしたけど、そのOrange Pi Zeroにはビデオ出力専用端子が無く、よく見たら普通のピンであの黄色のアナログ信号を出すと言う代物だった。まあ、それでも巷のモバイルルータなどに使われるLINUXボードとしては上等と言える。私は普段からラズパイにあの高価なHDMI端子が要るのか疑問に思っていたが(と言うのもあの端子を使うだけで年間100万円ほどの支払いが生じるらしいんで)、さすがにイマドキRCAビデオ信号はないわーと思ったらZero Plusなるものがある。しかし今度は有線LANが無いし、それに合ったケースもなさそうだ。更に漁った結果、Banana Pi M2+(以下、ばななぴ)なる正方形基板の奴とケースを探し出した。合計で$39とちょっと高め、ラズパイとコンパラだ。Orange Piなら$20台前半で入手できるだろう。

 実際の物が届いてみると思ったほどコンパクトではなく(基板で65mm角、ケースで85mm角、高さが35㎜くらい)、その時点でCobaltなんちゃらのノスタルジーは消えた。ケースもよくあるレーザーカットのアクリル板を組み立てる奴でネジが8個も付いてくる。
 でも、基板を見ればかなり良くできている。Arduino互換品にありがちだった部品やソケットのずれもなく、ハンダの温度もちゃんと管理されているようだ。表面実装されている部品の数を考えると割と高度な自動化が行われているはずだ。
イメージ 1


 でまあ、取り敢えず動かしてみるか、とネットを漁り、最初は
 2016-07-13-raspbian-jessie-bpi-m2p.img
 とか言うイメージをclass 10のSDカードにDDしてHDMIケーブルでテレビに繋ぎ、ネットワークは有線接続して電源オンしたが…いつまで経っても信号が出ない様子。
 こういった怪しいボードがブートしないのはとっても疑心暗鬼になるものだ。いろいろやってみたら結局電源をメーカーの要求する通り2A以上の電源(ANKERの2ポート、4A. それまでは古いスマホについてた1Aの充電器)に変更し、PC用のディスプレイにつないだらあっさり起動画面が現れた。後で分かったことだが、どうやらこのばななぴのX-Windowのデフォルトは1280Pの解像度らしく、東芝のフルHDレグザには反応しなかったようだ。PC用のディスプレイもフルHDなんだけど。※Panasonicもダメだった。
 で、その頃にはRaspbianってのも変だろうとOSも
 2016-07-21-ubuntu-mate-16.04-desktop-armhf-raspberry-pi-bpi-m2p-sd-emmc.img
に焼き直していた。どうせWolframはラズパイ以外での運用を許していないようなので、Raspbianはあっさり諦めてこのウブンツ待てにしたわけ。他にもバナナにゃーんとかアームびゃーんとかアンドロイドとかドロドロ動くらしいが、まあ、間違いのないOSの一つだろう。先のIoT電子工作を目指すならドキュメントの多いRaspbianの方が良いかも知れない。

 何にせよ、Raspbianに比べれば古いOSである。でもまあ、dist-upgradeとかできるし、Raspbian on ラズパイよりサクサク動くので構わない。驚いたのはファームのアップデートはrpi-updateを使え、ってとこ。ばななぴにも幾つものバリエーションはあるが、ここまで互換なのか。もしかしたらWolframもいけるのか(んなわけ無い)。

 ついでに当然日本語もOK。ロケールを加えるとフォントを含め一式インストールされる。画面表示は英語のままが好みなので、デフォルトは変えないが、mozcを最初のIMにして使っている。xrdpを入れていつもの
 sudo wget http://w.vmeta.jp/temp/km-0411.ini
と一連のシンボリックリンクの呪文を唱えればリモートデスクトップで日本語キーボードもNP.

 悩みどころはWifiとBluetooth. このモデルには両者とも内蔵しているがそこは海外製。電波法は通って無いのでNG。そのドライバを殺して、代わりに国内向けドングルを付けるのが正しい。チップレベルの出力くらいは総務省も見逃してほしいと思う一方、電波障害もそれはそれで問題だし。

 前に書いたかも知れないが、古いラズパイはMPEG2のライセンスを買ってOSMCにすると、とても良いメディアプレーヤーになる。初代B+でも動画再生は何とかOKだし、レグザのリモコンで使える。それまで使ってたデジ蔵なんかには戻れない。
 そしてこのばななぴにはeMMCフラッシュが8GB付いてくる。このモデルはまさにメディアプレーヤー向け、とされており、そこにOSを入れればSDカードは第二ストレージにできる。まあ、USB接続のHDDで使うのが想定だろう。OSMCが動くのかはわからないが、8GBと言う容量は私がラズパイで運用しているOSMCのインストールSDカード容量と奇しくも同じだ。