耳からキノコ、はやめてくれ。

 目からウロコ、とは全く関係ない。

 最近、Bluetoothヘッドフォンを買ってみた。
 くだんの音楽プレーヤー、AGPTEK G6で使ってみるためだ。Bluetoothごしのイヤホン音楽は、かなり以前、単四電池一本で動く多摩電子工業のものを使って多少失望したのを記憶している。あ、BluetoothスピーカはPCでいつも使っています。
 もう一つの購入の言い訳(誰に向かって?)は、ソニーのActive Noise Canceller(以下ANC)付きのヘッドフォン(これまた単四電池一本で動くやつ)が壊れたのでその後釜を買おうと考えた。まあ、後者のヘッドフォンはあまり使っていなかったが。

 で、AliExpressを彷徨ったら、案の定Bluetooth対応でANC付きの奴があった。価格は送料込み$9.6と、Sony製よりかなり安いものだった。が、その時は、たまたまその会社の祭りがあっていたようで、今見たら$22.0になっている。
 モノは近所の量販店でもチラホラ見かけるようになったBluedioなる家電(音響?)メーカーのTNって奴。細ーいネックストラップの左右からイヤホンに配線が延びるタイプで、ひと世代か二世代前のタイプ。アマゾンでも売っていて、ANCの効果はあまり無いと言う評価が多い。まあ、これ以上大きくなると、メモリーカードと再生チップを埋め込め、と言われる境界あたりのサイズに収まっている。

 お試し価格と思ったので買ってみた。パッケージ付き、日本語を含む多国語取説の紙、充電用Type-Cケーブルとイヤーバッドは三種類。ちゃんとしてる。

 柔らかいプラスチック製のネックストラップを首にかけて右側がスイッチユニット、左側がバッテリー。メーカーの言い分ではスポーツ志向とのことだが、その割には耳から落ち易い。第一、上体を揺らすとネックストラップが跳ね、それが耳からイヤホン部を外れさせる。今普通のイヤホンが備えるような耳の内側に突っ張るものもなく、古いデザインだからしょうがない。今では各社が取れないイヤホンのデザインに力を入れているから今後のデザインで改正されるだろう。また、この時期の(今も)イヤホンにありがちな磁石で左右のイヤホンがくっつくんだけど、磁石は嫌。こいつに付いているものは、割と弱いけど、机の上には薄ーい筐体の外付けポータブルHDDが乗っている。

 先にデザインの話をするが、私は耳からキノコを生やす気は無い。どうもApple社が、iPhoneの標準品として左右独立型のbluetoothヘッドフォンを発売したのを皮切りに、雨後の筍の後追い品が蔓延ってきたが、それを装着している人を見かけるといつもギョッとさせられる。でかいのだ。やっぱり間違ったデザインだと思う。AppleはかのPDA、Newtonの発売時、世の中に存在しないサイズのGパンのポケットに入れた写真を宣伝に使ってた。今度のイヤホンはよほど頭がでかい人を宣伝に使ったのだろう。まあ、かつてソニーもトランジスタラジオの拡販に、大きなポケットのYシャツを作ったらしいけど、ずるさにもほどがある。
 この手のイヤホンはその形態から左右に無線ユニットとバッテリーを備えなければならず、最低でも四時間の駆動時間を要求される。リチウムイオンに代わる小型大容量のバッテリーが世に出ない限り、同等の時間使えるイヤホンは小さくならない。更にiPhoneは白基調、大きく見える。私はそれをキノコと呼んでいる。巨大なエノキ茸。なんならタ〇ポ〇と呼んでも良い。(昔の映画、ファイナルデッドコースターにレース場で子供にそれで耳栓をさせる母親のくだりがあった。)そんなものを買うくらいなら、古くても前のタイプか、ヘッドフォンを買う。

 で、音なのだが、実は上述の単四電池一本型Bluetooth受信機がまだ動く状態で見つかったので、それに通勤時に使っているイヤホンを挿して比較してみた。このBluedioのTNはイヤホン一体型なので、その差もあるだろう。
 単純だが比較した順に;
(1) 多摩工業製Bluetooth受信機+いつものイヤホン
(2) Bluedio TN
(3) いつものイヤホン
ってことになる。音源はCDからリッピングしたインストルメンタル音楽。
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何だかとってもプラスチッキぃ~

(1) 少しこもっている感はあるが、それなりに聴ける。ラジオなら普通だ。最初は「おっ、イヤホン更新したから、なかなかイケるのかも、と儚い期待。
(2) (1)よりメリハリがあって拡がりを感じる。音が煌めき、明瞭。
(3) (2)より更に音場が広がり、楽器の操作音も聞き分けられる。ぱっと見、ではなくてパッと聴き、音程が違うのか、と思った。
 と言う、予想通りと言うか、誠に無難で面白くない結果である。
 実際に通勤時に使ってみたが、ややケーブルが短い感じはするものの、歩いている限りは飛び跳ねもせず、耳から抜けなかった。大き目のイヤーバッドに替えた効果もある。それほど神経質にならない屋外での使用ならば問題ないだろう(安い耳だ)。

 ANCの利き具合だが、室内で「弱」にしたエアコンの音程度なら聞こえなくなるが、消す音は選んでないようで、人の声も小さくなる(私にはこれが良い)。(いや、人の声の音域を残してあるようだ。)でも、先人の評価通り、本当にかすかな効果。イヤホンの耳栓効果の方が大きいので、最初からスイッチを入れていると全く気付かない。道を歩いている最中にオンオフしても、クルマの走行音とか全く消えない。うーん。
 これを使うことで、音楽プレーヤーから出る線はなくなって、何となくスマートな感じもするんだけど、ラジオのアンテナがなくなるわけで…やはり無駄遣いだったかも。

[後日追記]
 その後、このBluedio TNで飛行機に乗ったりしたので少し追記。飛行機の中で使ってみると、ほぼ翼の上(つまりエンジンの横)の席だったが、低温域が抑えられるようで、ごぉーとした部分がなくなり、高周波成分が残る。キーンとかピーンとかいった音が残る。無論うるさくなるわけではない。機内アナウンスもこもった部分がなくなるが、チープなスピーカーのような音になる。もちろん、Bluetooth経由で聞く音楽は低音もしっかり鳴り。$10以下にしては良い製品だった。
 BOSEとかSONYなどの高級機で、全く音がしなくなる、と評価されているものがあるが、本当に無音になるのだろうか。ジェット機の音を全く無くすなんてことができるのだろうか。1989年頃購入した最初の個人向けANC(同社はActive Noise Reductionと呼んでいた)市販機、Noise Busterには、2pinの航空機用プラグアダプターも付いていたが、それもまあ、エンジン音がなくなるってことは無かった。 知っている人がいたら教えてください。
 ただ、電車では、違いはわかるが、あまり効果は感じられない。
 それから、TNのスタミナはたいしたものだと思う。わずか300mA足らずのバッテリー容量ながら、タブレットや上の写真に写っている音楽プレーヤーよりも長持ちする。