ホビー・オブ・ザ・プア ハイレゾ音楽

プアマンズホビー ハイレゾ音楽

 最近、自分が持っている書籍、音楽、映像などの内、「現在使っているもの」の半分以上が電子化されているのに気づき、それならと思い立って、電子メディアを一か所に収め始めた。まあ、iTuneなりMedia Goを使っている方ならとうに一か所で管理してる、って人は多いだろう。私も過去にそうしかけたことはあったが、自分がかなりのOSブレイカー(インストールしたOSが気に入らない挙動をするとすぐに初期化する)なもので、当時のシステムに今一つ信用をおけず、中途半場に終わっていた。
 しかしここにきてWindowsの進化が止まり(はいはい、Win10でも大型アップデートはたくさんありますね)、また安価なRAIDが組めるようになってきたので、2TBx2のRAID1で音楽と電子書籍用のストレージを確保した。CDはWAVで引っぺがしflacに圧縮し直し、晴れてメディアを捨てることができた。
 また、過去にレンタルで圧縮化した音源も、可能なものは中古で再購入し、慎重にリッピングをしている。リッピングに当たってはEACの恩恵で、テスト後リップで、ほぼ100.0%で獲れているようだ。まあ、表示は0.1%刻みなんだけど、1000回に1ビット未満でも誤りがあると、デジタルの世界では一体どんなポンコツPCなんだ、と言うことになる。が、そこはアナログとデジタルがつながるところ、つまり適当である。このCDドライブが、CD原音を最低ラインとする(のはプアマンだからなのだが)ハイレゾプレイヤーの最初の金のかけどころなのかも知れない。あー、CD表面をガリガリやって傷を消す奴も時には必要。

 私は常々、オーディオマニアと呼ばれる連中は「いかにしょうもないものにお金を費やすかを競う変態」と呼んでいる。彼らは音を楽しむのではなく、優れた再生装置にお金をかけるのが好きなのだ。つまるところ、ここのところ急激に下がっているハイレゾ音楽再生装置に手を染めるやからは大なり小なりそんな変態になりつつある、と言えるだろう。
 しかし、逆に考えれば、ハイレゾの再生機、中でもDACは安ければ数ドル、高くてもせいぜい2000ドルくらい(あー、それ以上払っているならあなたは間違いなく変態である)であり、そこでオーディオ機器への投資が抑えられれば、あとは純粋なソフトウェア=音楽データにお金をかける「正しい」音楽好きの趣味人ができ上がるではないか。今や音楽好きはCDと言うメディアの忌々しき呪縛から解き放たれ純粋にデータの質を追求できるわけだ。ただ、間違ってならないのは、音楽データは量り売りではない。データ量が大きい=高音質ではない。

 今、特にヨーロッパの音楽レーベルは盛んにハイレゾ音楽のサンプラーをリリースしている。サンプラーであるので無料もしくは1ユーロ程度の安価なダウンロード販売だが、WAV(FLAC)やDSD(DSF)形式をバンドルしてあると、一曲1GByte程度のダウンロードになるのはザラにある。目的はもちろん自社のダウンローダーとして登録をしてもらうためであるが、貧民の分際でハイレゾ音楽に手を出そうとする者は、まだ本当の趣味人にははるか遠く、やはり音楽家の努力より録音の質に目、でなくて耳が行く。

 無料でも集められるこれらのサンプラーは、これまで興味の無かった分野の音楽への窓でもある。それらを集めれば良い音を楽しむことはできる。しかし、あくまでもこれは楽曲の好み以外の目的である。
 ハイレゾの音質について語る人は、十分気を付けなければならない。なぜなら、常人が聴いて分かる音質差ではなくなっており、例えばPC内蔵のDACなどは勝手に音質を下げて再生してしまう。それなのにさもわかったふりをして音質の差を騙ってしまうことはありがちである。まるて競技者のように、音を語るライターは自分の耳だけを信じ、ライター生命を賭して執筆しているのである。
 私のパソコンはDSDを除き、これまで再生できなかったハイレゾ音源は無い。しかし、それはドライバーなりそれでドライブされる論理回路が自動的に再生できる音にダウンさせてしまうそうだ。

 で、プアマンの知恵、一年くらい前、アマゾンでたたき売りされていたElecomのEHP-AHR192、スマホ用のDACを持っている。購入したときは2k円を下回っていたが、今見ると、3k円弱である。いよいよ市場在庫が無くなってきた様子。スペックは192k/24bit、旭化成エレクトロニクスのAK4430ET。DACとしてはお値段なりだが、音は私には十分(一部でアース配線の不良があるそうだが、私の個体は問題なさげである)。USBアダプタ(はいはいノイズ源ね)経由でWindows 10で自動認識される。ただ、強烈に音がキレる。「切れる」のではなく、キレッキレなのだ。ヤワなイヤホンでは耳に痛い。私の鼓膜はハイレゾに対応していないらしい。しょうがないので抵抗の高いヘッドフォンをドライブさせ、適当なイコライザーを用心深くかけると何とかなったが、まあ、程度の差はあれ、音楽を楽しむとは耳の寿命を削ることだと認識しよう。必要なければスピーカーで聴くのが一番。幸い私はこれまで健康診断の聴力検査で悪い結果が出たことは無いが、舞台音響の現場にいた人はかなりの確率で耳が悪くなる。これは事実である。
イメージ 1
一緒に写っているのは比較用単四電池。DAC自体はUSBの電源で動く。なので携帯型のスマホでは電池を食って使わなくなった。

イメージ 2
裏には回転式のクリップがある

 チップレベルで言えば、DACは市販価格でもせいぜい数百円、アンプはアナログでもデジタルでも数十円から入手できるものだ。エレコムの二千円ならば妥当な価格だろう。普通の人には必要ないけど、この安さがプアマンのホビーストを刺激する。プアマンズ・見栄である。

 イヤホン(ヘッドフォンではない)、の話題に乗じてTIPSを少し。
(1) 選び方
 質より量。中華製が跋扈する中、一万円前後のイヤホンでも平気で模造品が出回っている。メーカー直販でなければ本物は得難い。しかも、模造品とは言っても音質の傾向は似てくるのだから、あなたが音楽関係者か「マニア」ではないのなら、安いものを幾つか試そう。(でも、模造品とわかって買うのは駄目だよ。それは誰のためにもならない。)「俺は面倒だから数万円のものを一個だけ買う」はNGである。それでは何が良い音なのかを学べない。小銭がボロボロ飛んでいくが、ここはお金のかけどころで、あなたのより充足した時間の糧になる。私の場合$4から$30程度までのものを数個試して、TPOに合わせて使えるものを再生装置毎に2,3個選択している。TPOってのは、例えば歩いている時に聴く場合、ある商品では風切り音がイヤーバッドを通して入って来る。静止状態で聴くものとは異なる選択になるはずだ。もちろん、聴く音楽のジャンルによっても変わって来る。
(2) マイク付きか否か
 当然だがスマホや録音機ならマイク付き、再生専用機ならなしの奴で。ただ、一般的にはマイク付きのマイクはモノラルだが、たまにステレオマイクの録音機もある。ステレオ、バイノーラル録音用のマイクは、まあ一般向けのイヤホンに付いてくることはほぼ無いが、自分の機器の事は知っておこう。
(3) イヤーバッドの選び方
 大抵のイヤホンには大中小のイヤーバッド(ゴムの珠ね)が付いてくる。薄いゴムは鼓膜に向かってイヤホンの振動版を中空に支えるものだ。だから、耳の穴ピッタリに合うものを選ぶ。つまり大中小があるなら大→小の順に試す。左右が同じサイズとは限らない。「私の耳の孔は小さい」なんて主張には意味が無い。イヤーバッドが振動して出す低音を感じ取る程度の感度は必要だ。
(4) 装着方法
 耳の孔は直接イヤホンの振動版に向かっているとは限らない。肝心なのはイヤーバッドの出口を塞がない角度を探すこと。耳の孔に差し込んでから本体をクルクル回してもイヤーバッドとイヤホンボディの間がスリップするだけなので改善しない。角度を試すときは一々耳から抜いて差し込み直す。
 (3)(4)は同時進行だから最初は面倒だが、ちゃんと装着すればそれなりに聴けるものだ。要は耳の孔の内側の密閉性と、音の通路の確保である。

 ま、こんな他人の蘊蓄いちいち真似る必要はないと思うけどね。音は楽しんだ者勝ち。私は「ながら音楽」はできるが、音楽を聴くときは何故か他のことはできない。自然と上のような手順が身に付いただけ。皆が「俺なりにはこうしている」って情報を出してくれるといいな。

 今日は疲れたのでここまで。