二人のイミ

2010/04/16
 
今これはオフラインで書いている。またどこかの宿に滞在中なんだけど、4月にしてはえらく寒い。それでもまあ、なかなか良いシーンに出会わせたもので、最近筆不精なので書いている。
 
いや、そんなにたいしたことじゃない。
この手の(どの手かって問われると、ヘルメットと防塵マスク、鋼鉄の入った安全靴を纏い、行き交うクレーンの下でコーディングするプログラマー)出張の場合、私は作業ジャンパーに身を包み、コンビニや弁当屋に出没するんだけど、今日も近所の弁当屋に世話になった。大手チェーン店の弁当屋と道を挟んで対峙するその店は老夫婦が二人で切り盛りする(なんと!)ネットカフェで、漫画喫茶と呼ばれていた時代の名残りか、マンガ本の棚がいくつかと、ジュースバーが色あせていた。カフェの方はすっからかんのようだけど、弁当屋の方は一組か二組は必ず客が入る時間帯のようだ。
その夫婦はそれでまあ、絵になっていたんだけど、私が弁当を待つ間、新しい若いカップルがやってきた。その二人の絵が良かった。女性も男性も同じ紺色のジャンパー(ま、私のと似たような安物さ)と腿に大きなポケットのある作業ズボンに身を包み、二人して弁当屋のメニューに覗き入りながら女性の方が「唐揚げ弁当二つ!」と奥の主に言い放つ。
 
たったそれだけのことなんだ。私は今風の男性の顔は見えていたけど、女性の方はポニーテールの若干茶色がかった頭しか見ていない。お金を先払いして「ちょっとコンビニ行ってくるね!」と出て行くまで三分もなかったかな。その間に二人は顔を合わせて何がおかしいのか笑い合っていた。うん、輝いていたな。
たしか、\780円だかを払うことでその日の糧を得る。同じ作業着で。まあ、夕食を弁当で済ますのか、って向きもあるだろうけど、とても、そう、「ハッピー」な情景だったんだ。ああ、そう「素敵」だったよ。
 
なんか、二人でいればなんとかやっていけるんだ、って気がした。そう、私もね。そしてそれがとても大切なことなんだと認識できたのさ。