ボアアップの独り言(1)

ボアアップは割に合わない
 
イメージ 1
サイドカウルを外すとどこにでもいるポンコツ車だねー
 
 私の原付RS50のエンジンのボアアップの話。遅ればせながらそのことをネタに少々話題を綴らせてもらおう。
 
 まあ、世の中にはありふれた話題、キットになっているシリンダ、シリンダヘッド、ピストンを交換するだけのお手軽極楽コースだけど、原付でも水冷2stはあまり話題に挙げてもらえないし(楽しい雑誌は4stしか眼中に無い)、誰かの参考になるかも知れない。
 今は交換は終わってトロくなら走れる状態なのだけど、自分としてはまだ作業は完了していないと思っている。気兼ねなく走れるようになるにはキャブレターとオイル量の問題を解決しなければならない。その一般人にはまったく役に立たない薀蓄と言うか、事前に考察したことあたりから。
 
 ボアアップをした後、完調で動かすには少なくとも次の作業を続けて行うべきと考えた。
(1) キャブレターの交換と調整。
 吸気と供給燃料の調整が主な目的だが、実はオイル量の調整が一番やっかいだったりする。このオイルの問題が無いって一点だけで4stが羨ましい。以前海外のバイクサイトのQ&Aあたりで読んだんだけど、誰かがオイル量の調整の方法を聞いていて、それに対して「何だってオイル量の調整が要るんだ?」と叫んで無視された人がいた。私もしばし考えたが、やはり重要だろう。

 かの混合オイルの時代の乗り物であればこの危惧は不要だ(…)。均等に混合してあるとすれば供給される燃料の量に比例してオイルが消費されるから、ボアアップして燃料消費量が増えても、供給オイル量も比例して増える。(……)
 
 でも昨今の2stは分離給油で、かつクランクケースに内蔵されたオイルポンプで供給される。おそらく回転数に応じて供給されるオイル量も比例して増えるのだろう。だからボアアップしてしまうと、潤滑面積あたりのオイル量が減ってしまう勘定になる。それでも私の知っている中型2st車はどこかのネジを回せば供給割合を増やすことができた。つーか多過ぎるくらいなので絞る方法を悩んだくらいだ。(それ以前の原チャリはこのネジに相当する機能をキャブレターが持っていた。オイルポンプを装備していなければこの調整で済む。)
 ここで、再度混合ガソリンの場合を考えてみると、ボアアップすると厳密にはその混合比も変えなくちゃならない。でももっとよく考えてみると、回転数によっても変えなくちゃ勘定が合わないのがわかるだろう。そう、混ぜれば大丈夫、てのはウソだ。ガソリンとオイルの役目は違う。ガソリンは体積で、オイルは面積で効いてくる。それぞれの供給量はそれぞれの理由で決定するのが正しい。混合の時代、これをどうしていたか。そう、単に濃い目で設定してあったのだ。

 混合ガソリンと言われるものの混合比は20~25:1くらいが多い。ホームセンターで売ってる農業用の混合済み燃料なんてのはおおよそこのあたりの比になっている。でも分離給油のエンジンの場合、40~50:1くらいで済むらしい。更にオイルの質を考え出すともう眠れない。温度条件にも寄るが倍半分程度は軽く違ってくるだろう、論理的には。
 じゃあ一体どうすりゃいいのか。何にも考えずにボアアップ量に合わせてオイル吐出量を増やすのが最善の策だ。それでも排気量増分の2/3乗比で増やすのか、単純に蠢動面積を計算してその分を増やすのかは悩み所だが、なんか、もうアバウトでいいんじゃないか、と言う気になってきただろう。ひょっとすれば高いオイルを食わせてやればそれだけで済んじゃうかも、と楽観的になってしまう。でも、焼きついてしまうと一回でアウトになる可能性が高い。私のと全く同じシリンダキットで焼きつきました、て人いるし。
 今回のエンジンは、クランクケースを見る限りそのようなオイル量調整ネジが見当たらない。オイルラインを見ると明らかにクランクケース内に引き込んであり、そこからキャブレターに供給している。
 
 昔の混合の時期に習って、燃料タンクに少量のオイルを混合し、濃い目にすれば簡単にこの問題は解決できる。でも心情的に「ヤ」なのだ。オイル混合ガソリンでポリエチレン製のタンク内をドロドロにして欲しくないし、燃料供給ラインがキャブレター内に届くまでに何かで詰まるかも知れないじゃないか。
 
 取りあえずはクランクケースの分解の機会を待っている。強化クラッチスプリングも控えてます。
 

 ああ、それから交換!キャブレター自体の交換が必要だ。昨今のパワー縛りの最悪なのは供給エアの制限。燃費は良くなるがパワーは格段に落ちる。まさに鶏の首を絞めるようにして生かさず殺さずのバランスで動いている。
 キャブを交換するってことはインテークマニフォールドも交換することも意味する。2stのご多分に漏れず、このエンジンもクランクケースリードバルブ方式で、クランクケースからにょっきりインマニが延びている。この口径も大きいものに変えてやらなくちゃ意味が無い。当然リードもサイズが異なってくる。こりゃ探すの諦めた。Malossiのサイトから個人輸入。
 
 
(2) チャンバーの交換
 これは2stの宿命だ。チャンバーは2stの内臓、いや外臓と呼ぶべきか。(その形も胃袋と十二指腸に酷似している。)今付いているチャンバーは純正ではないので排気系のパワー絞りは無いが、調べると50cc用として販売されているものだ。そりゃ、今回交換するシリンダのメーカー、Malossiのサイトに行けばチャンバーも売っている。そしてそれはシリンダーより高いし、ちゃんとセンターアップになっているのか画像も無い。
 ひょっとしたら今のチャンバーでも結構いけるんじゃないか、って期待するのは間違っているだろうか。駄目だったときに買えばいいよね。
 昔、スクーターが大流行した頃の苦労話を知っている。今ではどうかわからないが、当時のチャンバーも現物合わせ。モナカ構造を散々作り直してパワーチェックのやり直し。一応目標出力なんてのは設定されているから、そこに向かって何個も試作を重ね、工員さんが量産できる形を探ったらしい。だから本当はシビアなのだ。
 まあ、今のチャンバーで回転が持続できないほど酷けりゃ駄目だけど、ちょっとでも力が出てたらモウケモノって考えることにしよう。どーせレースに出るわけじゃないし。(これを言ったらオシマイか)
 
 
(3) スプロケットの交換
 あ、そうそう、今回のボアアップの目標は時速で3桁に到達することなんだ。(おっ、と公道計測は無しだ。)
 今は6速12000rpmでも85km/hくらいが限界なのさ(おまけにハッピーメーターらしいし)。ミッション車だからエンジンがいくら高出力になってもレブリミット12000rpmが変わらなければ最高速度も変わらない。因みにレブリミッターが付いているのかどうかは定かではない。確かにタコメーターが振り切れる辺りは格段にパワーが落ちるけど、エンストするわけじゃないようだ。かといってそのままの状態を持続して止まるのか確認するほど悠長じゃない。レブリミットは、排気量が上がって重いピストンになるし、蠢動面積も広がるわけだから本来下げるべきである。てゆーか、そこまで回らなくなる可能性だってあるわけで。
 そこにはぎゅっと目をつぶって、その最もお手軽な対処法としてスプロケットの交換します。取りあえずフロントだけしか準備してないけど。はい。
 
 
 後は、熱の問題を監視しなければならない。ラジエータの冷却性能によるのだが、RS50は125と共通部品のようだから、これは当座、問題になるとは思っていない。(これが後々気になってくる。)旧型のRS50はオーバークールでわざわざ50cc専用のラジエータを付けたらしい。このGPRエンジンはそのようなことは聞いてないんで、まあ、ぼちぼちとやって行きます。