ジャイロキャノピーその2

05252008 ジャイロキャノピーその2
 さて、家内専用のジャイロキャノピーであるが、実は納車の一日後に街中で停止した。原因は燃料噴射装置近くのコネクタ外れ…と聞いている。このバイクには私もまだ乗ったことはないけれど、まあ、新規の部分であるからそんなこともあるだろう。はなから人柱であるのは了解している。それ以降、バイク屋の腰が一層低くなったようである。
 今日頼んでいたジャイロキャノピーの整備マニュアルを取りに行き、一通り読み終えた。
 すごい。
 これは半端なバイクではない。これまで整備マニュアルを読んで、自分の手で修理したくないと思ったことは無かった。でもこのバイクだけは勘弁してくれ、と思った。
 この整備書を見て、何かしら分解しようなどと思ったら自動車を相手にする気でとりかかることだ。ミッションオイルの交換すら面倒くさい。
 燃料タンクとバッテリ以外のほぼ全てが収まった後輪ユニットだが、ここまでユニークで、造りこみがしっかりしているとは想像できなかった。新設された燃料噴射装置の絡みでECU系の専用ツールを使ったエレキ部分の開設がマニュアルの約1/4を占める。もうここは素人には手を出す必要の無い部分である。多分、バイク屋でもいじりたくないだろう。
 ファイナルギアにはちゃんとデフが装備され、あ、こうすればコンパクトになるのか、と言うアイデアに満ちている。ブレーキはホィールの内側をドラムとする構造だし、パーキングブレーキ自体もかなりユニークだ(ここはモーメントがかかる場所だから体重をかけた状態で操作しない方が望ましい)。
 私はこれまで、エンジンはクランクシャフトがあって、ピストンがあって、シリンダーがあって、伝達機構があって…と考えていくものと思っていたが、このエンジンは、他の機器の隙間を縫うようにピストンが水平に動作する。
 要所要所には手抜き無く構成物が入っている。私が持っている中華バギーなんざ足元にも及ばない。もしジャイロキャノピーの500cc版、と言うのが出たとしても、その価格は殆ど変わらないだろう。シリンダサイズなんて知れたもの、それ以外の構造物が殆どのコストを吸い尽くしている。
 金額に見合った、と言うか改めて大量生産の恩恵を感じずには居られなかった。と言っても年間5000台だそうである。
 この2008年式ジャイロキャノピーの設計部には心から賛辞を述べさせて頂きたい。こうあるべき、と言う執念を感じる一台である。
 思うに、今後の日本を支える一つはこの執念の設計だと思うのだ。これが無くなれば我々が世界経済から金を受け取る手段が減ってしまうだろう。物の作り方を教えるのはしょうがない。でも適当なブラックボックスと、計算書だけは渡すべきではない。

 ちなみに、整備マニュアルの注文と同時に、イモビアラームも頼んでいた。こちらは先に届いて装着済みであるが、まあ、構造を知れば四輪のイモビほどの効果は期待できない。しかし、このバイクの値段を考えればイモビなんて安いものだ。標準装備でも買う。もう、盗られないかとっても心配になってしまった。カブの次くらいに盗難のターゲットになるんじゃないかなぁ。

 ついでに、中華バギーであるが、結局金一万円也を支払ってGSユアサのバイク用バッテリを購入した。それまでのバッテリが傾けると硫酸の液が流れ出す構造だったので、どうしても不安を拭い去ることができなかった。現に、充電したらガス抜きのパイプから液体(これは水蒸気が冷えたもの、と信じたい)が出ていて慌ててしまった。一応バッテリの脇からビニールパイプで液なり蒸気なりを逃がすようになっていたのだが、パイプはすぐに外れるし、たとえ抜けなくてもパイプ出口の下はフレームである。なんともお粗末な設計である。