タブレットペンの憂鬱

んではペンの話。

…っとその前にまた前回の注意事項。前回のEZCast、実際に使ってみると案外使えない。私のテレビは37インチなので炬燵を挟んで見ているのだが、遠い。ノートPCを端末とした場合、きっかりフルHDの表示がなされるのだが、文字が小さくてエディタが使えない。パソコンの画面とテレビの画面が被っちゃうし、リンクしたからと言ってタイプしやすくなるわけじゃない。プログラムリスト程度の文字サイズになるとやっぱり見えにくい。それでもま、ビデオファイルの再生には特に遅延やフリーズも発生しないし、使い道はあるでしょう。(普段は専用のメディアプレイヤーで見ているんだけど、ごくまれにそれでは再生できないエンコされたファイルもあるので。)

現在のスマホ、タブレットに使うペンは殆どが導電性のゴムで作られているそうだ。まあ指の代わりなんだけど、個人的には感圧式の適度に摩擦のある(表面に貼る防護膜の性能による)タッチが好きである。Vivotab8はワコムタブレットが内蔵されているので専用のペンが付いてくる。無論、静電パネルもあるから普通の導電ゴム製のペンも使えるのだが、個人的にゴムのぐにょぐにょ感が嫌いなので硬質のペンを使う。カツカツ音が周囲の人の迷惑になりそうだが、今までのところ指摘する人はいなかった。

付属のペンは内蔵タイプのプラスチックの棒なのだが、脱着を頻繁に行うと摩耗して落ち易くなるし、細くて使いにくいので互換品を購入するのだが、これが高い。これまで散々比較してきたキーボードが空しくなるほどである。
めんどうなのでざっと行こう。

写真はこれまで購入してきたペンである。
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右から順に(1)~(5)です

(1) 一番右が付属のプラスチック棒、とは言ってもただのプラスチックで試してみたら何も書けなかったから、何か特殊な材質なのだろう。

(2) 次がよくある導電ゴム製。別にこれ一本では無いが、しばらく使うとタブレット面の皮脂とかを吸うのか感度が落ちる。それにイライラし出したら交換と言うわけである。でもペン軸に質の悪いボールペンが内蔵されているので今でもたまに使う。

(3) 次もよくあるが、ゴム質の中身を導電布で覆った奴。これも普通の静電パッド式のタブレットに使われる。ゴムのぐにょぐにょ感は残るが、滑りは良く、安定した摩擦抵抗を受けながら書くことができる。しかしちょっと長く使うとやはり摩耗で繊維がボロボロになって垂れてくる。タブレットが普通の静電パッドだけならベストかも。

(4) で、その次が問題のワコムタブレット用ペンである。キャップ式の高級筆記具のような質感で、ペン先はやはり硬質のプラスチック。でもこのペン、正式名称Wacom Bamboo Stylus feel CS300UK アマゾンで替え芯付き\2,182の品物である。その上位機機種はお値段が一気に二倍に跳ね上がるが、これでもキャップ付きの本体がカーボンっぽい高級感がある。替え芯が数本付いていた。

Windows XPの時代に小さなワコムタブレットを使っていて、ひょっとしてそれが使えるかなーと思ったが駄目だった。ただ、このところのタブレットには意外とワコムは頑張っていて、レノボとかSAMSUNGなどのタブレットに採用されている。と言うことはそれらのペンが使えるに違いない。ググって見ると富士通の業務用PCに付属していたペンが秀逸らしいが、アマゾンに在庫なし。それでも需要が高いのか、レノボ用でも四千円近い暴力的な値付けがされている。ただのプラスチック棒になるかも知れないのに。

(5) で、一番左側がその互換かもしれないペンである。これはThinkPad X60 X200 X201 W700用のデジタイザペンとして売られているもので、中国から送料込み$9.91と、それでも捨て金にはもったいない価格である。本物を見たことが無いので断じることはできないが、ペン先が赤く、反対側がグレーと言うレノボらしからぬ色使い(当然頭は赤いと思っていた)がパチもの臭い。交換ペン先が五本付いてくる。ペン頭は弱いスプリングでへこむようになっているが、これはペン先の出し入れボタンではなく消しゴム機能の利きを変えるしかけである。ワコムが出しているWin8用メトロアプリBanboo Pageって奴で何か描いてそれをペン頭でこすると、このボタンの押され具合によって一振りで消える幅が増減する。へにゃへにゃで精密な作業は難しいが、この機能は(4)のペンにも無い。惜しむらくはペンのボタンが一個しか無い点だ。最近は三次元CADを使うので(ってタブレットで編集とか普通あり得ない)、ボタンを右クリックと中ボタンにしたかった。

さて、(4)(5)のペンは高価だから当然おまけの(1)より使いやすいはずだが、実はそうでもない。(4)はキャップ式でそのキャップを使用時に反対側に被せておくと重くてバランスが悪い(外せばよいのだけど)。そして問題はペン先とタッチ部分のずれである。このタブレットのキャリブレーションは米国ワコムから落としてきたドライバ付属のアプリ(コンパネ)で設定しているが、どうにも先がずれる。特に(5)が顕著である。例えばペンを画面に垂直に立ててそこから右に傾けていくと、画面上の認識ポイントが右にずれる。つまり、ペン先ではなく、ペン本体とも画面がリンクし、倒した方に認識点がずれてしまうようだ。普通、キャリブレーション時と全く同じペン角度で使えるとは限らないので当然発生しうることだ。この点についておそらくメーカー側でも認識しており、(1)(4)では改善されている。ペン軸の先端が平らな円になっており、その中心からペン先が頭を出す設計になっている。この場合、先の円の縁(円周)とペン先の合成静電容量によって認識位置が決まるのか(?)、(5)のようになだらかなペン先に比べるとその変化量が少ないようだ。あくまで憶測であるが。

まあでも、Win8のやたらでかいソフトウェアキーボードの文字認識面が有意義に使えることは変わりない。無論標準サイズのキーボードをタイプするより遅いが、昔のザウルス(Z80で認識してた頃)よりストレスが無い。英語入力に至っては私の稚拙な筆記体でもだいたいまともに認識される。(英語ロケールの文字入力には区切りが無いので、筆記体がちゃんと認識されるのに驚いた。)
願わくば、Win8のソフトウェアキーボードのサイズを縮小し、一度に認識できる文字数を増やしてもらいたい。特に横画面で、画面の下半分がキーボードで隠れてしまうようでは入力文字を確認するのに一々キーボードを閉じて画面の移動やスクロールし直しが必要になり、思考が途切れる。半透明キーボードでも効果的かな。

尚、プラスチックのペン先は本来削れて短くなっていくため後付のペンでは付属しているし別売りもされているが、タブレットに至ってはガラス面なので摩耗も少ないのだろう、内蔵ペンの替えペンは見当たらない。

あと、以前からこのようなスタイラスで思うことは、できれば紙に書く筆記具の機能も付けて欲しい。私の筆入れは小さく上品である。たかがペン一本とは言え、本来指で代用できるプラスチック棒に割くスペースはあまり無い。無論ボールペンとシャープペンは複合筆記具で賄っているし、定規もステンレス製の細いものである。最大幅を取るのはコンパスくらいなものだ。消しゴムすらスリムなペンタイプなのである。そうだ、複合ペンはどこだかの、好きなペンを選んで組み合わせできるものだったので、そのバリエーションで出してください…ってペン軸の素材変更も必要なのか。いっそのことペンタイプの消しゴムを導電ゴムにしてはどうだろうか。

ああ、でも、ページスクロールや画面サイズの拡縮、ダイアログボタンの押下などはペンより指の方が早いよ。右手でペン、両手でミニキーボード、時々人差指も使う、って何て残念なインターフェイスなんだ。

…ここまではレガシーなインターフェイスの話。