オモチャのへりN回目

11/17/2009 模型ヘリの安心

 先日紹介した室内ヘリで遊んでいる。一日四、五回充電しては飛ばしている。今でも壁や天井に接触するが、かなり長い時間滞空できるようになってきた。

 操縦していて思う。やはりこんなどんな動物とも似ていない方式で空を飛ぶのはかなり無理があるなぁ、と。ま、細菌の世界ではそれこそヘリコバクターなんてのがあるから似たような(と言ってもあっちは螺旋状の動きだったかな)動作するんでしょうが、空気中ではとても難しい。実機は最高の自動補正装置を持っているにしても、よくもまあ、こんな不安定な乗り物に乗れるよなぁ。

 まず、スロットルと上げ下げするとメインローターの回転速度が上下するのだが、この上下のスピードによって反トルクの大きさが異なるので、それに合った修正舵を打つ必要がある。ラジコン的には送信機にそのような調整ダイヤルが付いたものもある。最近のラジコンヘリは、兎に角エンジンコントロールを一気に上げてやれば、離陸はする。そしてたいていくるくる回る。これは実機ではご法度だろう。頃合いを見計らって修正舵で向きを安定させ、トリム調整を行うと、あとは機体が持っている個性で左右にスライドしたり、前後に動いたりする。これらの挙動はできるだけ小さいうちに細かく修正するのがセオリーだが、それが難しい。特に横スライドは室内機に多い三チャンネルでは抑えられない。

 離陸は一瞬で行わないと、自分がまき散らした風の乱流で姿勢が崩れる。離陸時のメインローターが水平でないと、離陸直後に前後動してしまう。また、修正舵も正確に取り付けられていないと舵を当てた瞬間から姿勢が崩れてしまう。

 離陸した後は、まずは飛行高度を一定にする。狭い部屋の中では、これは必須のテクニックである。これが自然にできるようにならないと、前進やターンを行う度に上下動が起きて、それを直すためにまた姿勢を崩す。室内で飛ばす場合は、前後動は余裕の範囲内でやるべきである。安定は発散方向に崩れていくものである。

 そうそう、電気が消費されるとどんどん機体は回転を始める。トリムの調整がやたら忙しい。でも一定の姿勢を安定させるには不可欠で、トリムさぼって操縦桿だけで姿勢を取ろうとしてもそう長続きはしない。

 同軸反転機の場合、前後進は思い切って舵を倒し(舵が効きにくい)、左右に移動しようとしたらそのまま方向舵で修正する。この時高度を一定に保つのは難しく、大抵上昇する。それを意識して下降気味のアクションに入ってから前進するとうまくいく。むしろ、テールローター(同軸反転機のこれは上下に風を送るように向いている)で引っ張るようにしてやる方が、安定するようだ。前進し、ターンさせる時はクイックにターンさせて修正舵でこちら向きにピタッと止めるのがよい。緩慢なターンはすぐ壁に当たってしまう。

 最も難しいのが着陸。思った場所に寄せるには、ホバリング中の機体のくせ(どっちにスライドするか)をつかんで、目標地点上空にホバリングで流しながらスライドさせるのが精一杯である。そして徐々にエンジンコントロールを下げるのだが、この下げるときも先の反トルクの変動を経験する。まあ、ジャイロでもあればある程度は解消されるのだろうが、本来この様な動作をするものだ、と一度経験しておくのは悪くない。最後は結局軟着陸になる。ピッタリのところに降ろそうとエンジンコントロールを乱暴に降ろすと、機体が地面でバウンドして結局横倒しになったりする。

 まあ、精神集中が要求されます。昔エンジン飛行機を飛ばしていた頃、ヘリは調整ばかりで面白くないよ、と言われたのを思い出す。いやいや、この精神集中の時間も大切ですよ。ホント。
 室内機にはきっとこの同軸反転二枚ローターがベストかも。実は今4チャンネル室内機も手配中。
 できれば室外機を買って、小さなカメラを取り付け、ヘッドマウントディスプレーでヘリから外を見な
がら操縦してみたい。ここまで来るとヘリの免許とれない国って悲しいよね、と思い始める。でもさ、その状態で墜落しても死なないよね。と言うことは(唐突だが)映画MATRIXで、マトリックスの中で死ぬと本体も死ぬ、って言うのは間違いだよね。ちょっと複雑。

 室内機、私の場合平均二ヶ月くらいでどこかが壊れる。主にはメインローター。ローター自体の割れも起こるし、遠心力でローターの角度を一定に保つ重りとのリンクが折れたりする。このリンクは替えが無い。まあ、リンク台座が折れていなければエナメル線あたりで補修できそうだが、大抵は安定狂ってダメだね。

 運が良ければ自分の目の前でぴったり動かない機体を眺めることができる。これは嬉しい瞬間である。一昔前には考えられなかった光景だ。モーター音は続いていて確かにうるさいんだけど、その昔、カリフォルニアのアパートの軒下に吊るした蜜壷にやっているハミングバードを思い出した。あいつもブーンってホバリングしながら蜜を吸うんだ。