ラヂオの時間(3)

11/08/2009
ラヂオの時間(3)

 今日、行政の電子申請について朝日新聞が税金の無駄遣いだと糾弾していた。最近この電子申請を利用したのがアマチュア無線の開局申請だったのでこの話題である。そう、今回のラヂオとはアマチュア無線のことだ。

 私は最初にアマチュア無線の免許を取得してからハンディ機一つで開局したが、それを電波の発信のために使用する機会は殆ど無かった。なので無線局の免許期限が切れてもしばらくそのままにしていた。
 その最初の無線局の開局中に引越しをしたり、中古で入手したトランシーバーを追加したりしたが、兎に角このシステムは申請者を退けようと目論んでいるかのように使いにくい。折角だからいくつか原因を考えて見よう。万一、どなたか改善できる権力をもつ方の目に留まるかも知れない。

(1) 局の所在地ごとに複数の申請先があり、コールサインが変わる。
(2) 申請、金のやりとり、免許の送付などで、利用するメディアがネット、金融機関、郵便と使い分け泣ければならない。
(3) 旧機種だと、更に「保証認定」と称してTSSなる業者に金を払って認定書を貰い、それを郵送しなければならない。

 まず(1)に関しても(2)(3)は同様のプロセスを行わなければならない。何のための電子申請か。そもそもネットのアドレスが世界唯一のIDである今、なぜ地域などに縛られなければならないのだろうか。IDが引越しで強制的に変わる、と言うのは意味が無い。電話なら電話局があって、割り当ての番号範囲があるのはわかる。携帯電話は既に番号ポータビリティは実現している。

 (2)について、せめて役所で一括手続き、本当はネットバンキングがあるのだからすべてオンラインで済ませたい。何回住所と氏名を書いたことか。しかも現在、その交付されるコールサインと免許すら返信用封筒を別途送らないと発送されない。(おまけに私が返信用封筒に貼っていた記念切手は、申請先の何者かの手によって「盗まれた」。剥がした跡があったから貼り忘れでないことは確かである。郵便局が気を利かせて届けてくれたが不足分の金は取られた。たかが80円だけど、これは犯罪である。)

 (3)について、自らの知識で無線機を改造、もしくは製作した場合に何らかの認定を受けなければならないのはわかる。しかし旧いとは言え、メーカー品を重ねて申請させるのはどうか。さすがに新しい無線機ならばメーカーによる申請によってこれは不要になっている。むしろ、すべての無線設備を送って調査する、あるいはチェックに来ると言うのならわかる。しかし今無線機は超小型高機能、ポータブルになっており、そのすべてを審査するのは税金投入に現実的ではない。だから無線機を確かめられることもなく、申請は通るのは致し方あるまい。
 何よりも不審に思うのがこのTSSなる団体である。まあ、地デジのカード発行元よろしく、天下り役人の独占企業であろう。うさんくさい。こんな手続きをする競争相手を作らないのは総務省の怠慢である。手続きは複数の民間会社に委託して市場原理を働かせるべきである。(手続き代行のデパート作ったら、お客さん来ないかな。簡単さと確かさを競うのだ。)
 無線機の仕様制限、連続した周波数帯のある一定区間を受信不可にするよう指導しているのもおかしい。そんな仕様は無線機の金額を上げ、エネルギーのパワー損失を招く。不自然である。不自然な仕様は皆改造する。今風に言えば総務省の指導はエコじゃないってこと。

 とまあ、天に唾を吐いてばかりもいられないからちょっと話題を変えよう。
 無線局を開局するとコールサインが発行される。これは局の情報を特定できる、まあ、私の場合は個人情報である。こいつはメールアドレスみたいにこのネットでは開示しない。私の実体名が知れるからだ。無線のIDは免許人同士でやりとりするのが良いだろう。
 免許人。そう、アマチュア無線の試験をパスしてもらえるのは、これこれの周波数帯でこれこれの出力までの無線電波を発信できる、って免許だけで、局の開局は別途申請が必要である。子供のころ、「アマチュア」なのにどうして免許がいるのだろうと思っていた。それで飯を食えるわけじゃない。今は、この免許は電波の使用に対して、社会的なルールがあることを分かっている、ってことに与えられる許可証なのだとわかる。これが本当に理解できているかどうかと言うのがアマチュア無線免許の意義なのだ。
 だから逆に私が受験したとき中高生の団体に違和感があった。彼らの受験は「○○に関する問題で、□□の部分の言い回しが△△だったら、正解は三番である。」ってなもののようだ。内容的には四級の試験は高校の物理程度の知識を要する。学校のアマチュア無線クラブと言うものが、それを教えてくれるものだと信じたいが、彼らがワイワイ騒ぐ声を聞く限り…。果たして彼らに取っての免許とは何なのだろうか。
 まあ、丸暗記で覚えれば済む問題を繰り返しているのも問題だ。そう言った点では、総務省はアマチュア無線関連の業務なんて切り捨てたがっているみたいだ。試験官も老人の人の良さそうな方々だったけれど、その派遣元業者も独占しているんだろうか。
 私が試験の問題をちゃんと計算して見直しが終わったのが制限時間の約10分前。その時教室に残っていたのはおじさん一人だった。皆、退出可能時関になるとさっさと消えたのだ。

 それでも今、私は開局した。今回もハンディトランシーバVX-7一つ。まあ、今後五年間で何回電波を発信できるかな。高出力無線LANなんて作ってもいいのだろうか。

 いやま、この文章を読み返してみると、人によっては分かりきっていることを書いているだけだ。でも何か考えていることを残すのはそれなりに意味のあることだと思うから投稿しよう。