高速道路の孤独

3/30/2008(Sun) 高速道路
 しばらくブログをサボったのは、軽自動車で1170kmの帰省をするのに力尽きていたからだ。その後、購入した家のために、まずは照明器具を買って取り付けたりして力尽きた。
 帰省は途中にある家内の実家に一泊したので、一泊三日、かかったことになる。但し、初日は午後十時頃の出発で、到着は中一日を置いた三日目の昼ごろ。
 この帰省は片道切符だ。私にとってこの最後(になるだろう)の帰省は自家用車で帰ったことになる。家内は引越し荷物の引渡しがあるので、四月の半ばに一度戻るが、その頃私は新会社で苦悩していることだろう。このUターンについては今後少しずつその経緯を書いていくことになるかだろうから、今日のところはその道中の雑感についてだけ、書くこととしよう。

 この前、家の購入のためにバスで帰省した時は、新宿発-博多間が12時間だった。実際に走ってみてわかったが、この時間は驚異的だ。夜中に出て高速に入り、途中、地図に無い新高速道路を使うのに、バスの後を付いて行けば…と考えてしばらく実践してみたが…早かった。関東圏の夜の走行はその殆どが大型トラックである。まれに高速夜間バスが見つかるが、バスの方がトラックより早い。長距離バスは同じ出発地から、途中それぞれの行き先に分かれるまで、前後して走行するようである。私が付いたバス船団は日本海側に向かうもので、三台が隊列を成していた。
 まあ、間に車の一台や二台くらい…と思っているとあっという間に置いて行かれる。一応バス会社の名誉のために行っておくが、何も高速道路を時速百五十キロも出して走っているわけではない。おおむね時速百キロである。それでいて何故置いて行かれるのか考えたが、どうやら混雑時に彼らは必ず「早い方の車線」に居るようである。高速道路は夜間でも車間が密になったり租になったりする。渋滞で止まることはなかったが、車間が狭まってくると、なかなかレーンの移動ができない。そしてたまたま遅いレーンにいると、速いレーンにいる車にどんどん抜かれていく。今回私はなるべく第二車線を通行するようにしたが、それでもいつも速い方のレーンとは限らない。しかしバスはほぼ確実に速い方の車線に居たように思う。何か前兆があるのかわからないが、そこがプロたるゆえんなのだろうか。
 ついでにもう一つ、これは大型(バスに限らずトラックも)の教習で習う事かは不明だが、レーンチェンジを行う際、自分が遅いレーンにいる時は、速いレーンの車に抜かれた瞬間に移動する。その移動も決してスムースでは無く、こじるような、強引なハンドル操作が伺えるものだ。考えてみればそれは合理的か。確率的には後続車の突っ込みを最も避け易い方法である。しかし、トラックの運ちゃんが後続車をちゃんと見ているかは疑問である。特に名古屋-関西地区。車間距離が非常に短い。自分の車体長は認識しているようだが、車体長の二倍もない車間距離の間にも平気でレーンチェンジをしてくる。こっちも後続車が一杯一杯に近いのはわかっているから、意地でもブレーキを踏むまい(自分は運転うまいんだー、と言う空しいアピール)とする努力はあえなく破られる。
 私と家内は道中様々なことを喋りながら走るので、随分楽な道中である。でもトラックやバスは一人だ。乗務員は二人でも、交代に備えて一人は寝ているから基本的にプロは一人で運転する。お客さんも乗せているからラジオを聴きながら、って訳にもいかない。前回乗ったバスは三時間に一回の休憩、しかも十五分程度しか休まない。自分は三時間連続で最後まで運転する勇気無い。すごいなぁ。途中であっさりと先行を許してしまった。

 夜が明けると共に一般車が湧いてくる。バスの次に速かったのはワゴンである。各メーカーのフラッグシップ車、オーバー三リットルクラスである。「突っ込み重視(笑)」のドライバーが多いようで、前の車に近づき過ぎて、ブレーキを踏むのが頻繁に見られた。また、後方から迫り来る時は、ヤッコダコのような押しの強い顔つきがどんどんバックミラー内で大きくなってきて、割と怖い。抜かれるときはスパーンと一気に抜かれてしまう。さぞかし乗り心地が良くて速度感が鈍っているのだろうか。
 西に向かうに連れて増えてくるのが軽自動車である。私を含め貧乏人が多いせいか。どんぐりの背比べだが、軽自動車には負けない。本来ならリミッターのかかる速度域から、トランスミッションは五速のままもう一つ、二つ上の世界まで加速できる。貧乏臭い軽ワゴンなんざその不恰好なエアロパーツが恥ずかしくなるほどの速度差で抜き去ってくれよう。まあ、軽でなくても小型車なら同様だ。
 終わりに近い頃、車の排気音が出発時とかなり違ってくる。しかし、日常の中で次第にまた鈍い音に戻ってしまうものだ。できればこれから始まる生活にそんなdullで知らないうちに安定志向になってしまわぬよう。そうなれば、引退だ。