家を「買う」(二回目)

03/24/2008(Mon) さて今日は家を買った。人生で二度目だ。
 ってんで今日は家の「購入」手順を記そう。誰かの参考になれば幸いである。まあ、この手の情報を必要とする人はこれまで家の購入経験の無い若い人だろうか。

 まず前提。ここでは上述のように既存の家+土地を買う場合を記す。経済面を除けばこのケースが最も簡便に住む場所を確保できると思う。

Step 01: 金を貯める。
 家のローンをどう組むかで幾ら貯めれば良いのかが決まる。勿論頭金は多ければ多いほど後が楽だ。毎月/ボーナス時に幾らまでなら支払いの安全圏内かで考えよう。
 ちなみに私が売ろうとしている家は極めて庶民的な4LDK、土地は約五十坪である。一般的には夫婦+子供二人+親一人で何とか暮らせる規模である。

Step 02: 不動産屋を決める。
 これは県知事認可番号の小さな方が、より「古参」であることを示し、一般的には信用ある不動産屋と言われている。その信用度で決めるのも良いが、最近はチェーン展開していて、数多くの物件を用意している業者も使い易いだろう。不動産屋には「仲介料」を支払うことになるが、これはあまり差が無い。法律で上限が縛られており、大抵はその満額を要求するからだ。勿論あなたやあなたの親がこれまで取引をして来た不動産屋であれば割引が得られ、十万、二十万の差は生まれるだろう。それから、あなたが若ければ若いほど、即ち家の売買について素人であれば不動産屋はどんどんつけいって来る。家を買う経験が無く、明確な要求が無いとわかれば理不尽なほどひどい土地を斡旋してくる。いや、このプロセス自体は理不尽ではなく、当然の流れだ。そこはドライに勉強代と考えよう。要はあなたに斡旋された物件を見る目があるかどうか、である。
 不動産屋に払う「仲介料」には幾つかのバリエーションがある。不動産屋が一旦自分の持ち物にして販売する場合は、あなただけから仲介料を取ることになるが、売主が別にいる場合はその要求に応じて「買主からだけもらう」「売主・買主両方からもらう(両手)」ケースがある。私の今回の家の「売り」の場合、「両手」であり、買主:売主で2:1くらいに配分された。家を買ったときの不動産屋「のみ」の指定であり、そこは便宜を図ってくれたのだろう。かなり「アナログ」な世界だ。
 それから一般的には一つの物件が複数の不動産屋に依頼されていると考えよう。「仲介」は成功報酬であるから、ベースはこの形である。古くからの地主や大手建築会社の手によるものの中には不動産屋を特定していることが多いが、他にもあると思って情報を探すことは決して悪いことでは無い。面白いことに広告で明らかに同じとわかる物件であってもその不動産屋によっては金額が違うことがある。これは売主の都合に合わせたり、不動産屋なりの意図があってそうなっている。基本は売主の言うがままなのだが、売主が一億円欲しいと言っても不動産屋が六千万円、と見積もりを行えば売主がプロの意見に楯突く事はあまりできない。不動産屋が売主に対して低い値段を説得する勝算があれば敢えて低い値段で広告を出すこともあるだろう。同じ理由から、売主が売り急いでいる場合も値段は下がる。
 少し脱線したかも知れない。でもこの不動産屋を決めることは思いのほか重要である。あなたが家を買い、それを売るまでのつきあいになるだろう。

Step 03: 物件を紹介してもらう。
 さて、あなたの選択した不動産屋の「性能」がここで試される。いきなり線路脇、踏み切り近くの三十坪程度の家を紹介されたら、その不動産屋はとっととお払い箱だ。不動産屋の広告物件を選んで見せてもらうのも良いし、不動産屋にある数々の物件リストを見ながら選ぶのでも良い。タイミングが良ければ車で数軒見せてもらえるだろう。見に行ったは良いが、今住んでいる人の都合で、中には入れてもらえないこともある。ま、納得できるだけ、時間を変え、日を改めて訪問すべし。
 ただ、ここで注意すべきは不動産屋の都合だ。多分あなたは土日に不動産屋を訪れる。週末はかきいれ時だ。そこで何ヶ月も従業員を束縛しては良い顔はされない。私の場合は週末ばかり四回ほど引き連れまわした。良い顔はされないが、あなたにとってこの期間は重要だ。自分がどのような物件を欲しがっているのか、それを明らかにしなければ、と実感するのがこの時だから。

Step 04: 不動産屋に値引きの交渉をしてもらう。
 気に入った物件が決まったらまずこれをやってもらおう。関東圏の人はこれを面映いと感じるかも知れない。しかし言えば不動産屋がやってくれるし、不動産屋も仲介業とはそう言うものだと認識しているから言わない方がおかしい。場合によっては百万円程度の差が出るし、全くゼロ、ってこともある。でも良いのだ、あなたがその物件を気に入っていれば。

Step 05: 売買契約を行う-手付金を払う。
 手付金は、原則一割、と言う不動産屋もいれば切れの良いところで何百万円、とするところもある。売主に異存が無ければあなたの意見で事は運ぶだろう。この手付金を払うのは原則、売買契約の時だ。売買契約書は不動産屋が作成し、大概不動産屋で売主・買主が集まってその説明を受ける。現在その物件に付けられている抵当権(無論残金支払いまでに抹消されるもので無ければならないはずだ)、家の瑕疵状況、現状での売買であることの確認、法律で義務付けられている特記事項(墓場が隣にある、とか言うアレね)の説明がなされる。そして引渡しまでに発生した瑕疵が誰によって修理されるのか。そしてその契約書に違反した場合、この売買の話の白紙撤回できるかもチェックすべき点である。それから、契約者欄に記載されている人名が正しいかも要確認項目である。例えば家の持ち主が夫婦連名であれば両方の名前の記入欄が必要である。
 売買契約書は不動産屋がこれまで培って来たものをベースに作成されるのだが、不満や修正してもらいたい点があればどんどん言って構わない。売主も来るので了解が得られれば(よほど不動産屋に暇が無い限り)その場で修正される。そして物件の金額、内金である手付金額、発生する仲介料、登記費用、印紙代、固定資産税(大抵は昨年度の額の日割り計算だ)など総費用の計算書が示され、売主は実印+署名、買主は認印+署名を書いて契約は終わる。おっと、もちろん手付金はこのとき渡し、(不動産屋が準備する)売主の領収書をもらう。場合によっては売主の銀行口座への振り込みが要求されることもあるが、私の場合、二回とも現金だった。もらった側はたとえそれが日本銀行の帯が付いた札束でもその場で数えて確認する。
 この間、余裕を見て二時間くらいは覚悟しておこう。

Step 05: ローンの手続き
 売買契約時に、おおまかな残金支払いの日程が決められる。時には不動産屋が司法書士の先生の約束を取り付けたり、買主の資金調達を待つために後日決定、てなこともある。あなたが買手であればじたばたする時だ。私は初回購入時の借金は住宅金融公庫だけだった。ここは貸し出し可能金額が財形貯蓄額の○倍(五倍だったかな)と決められているので、それで賄える額に達するまで頭金を貯める、と考えると賢い。私が借りたときに返済額は、毎月四万八千円(←修正した)、ボーナス時二十六万円程度に設定できたと思う。これだとアパート代より確実に安いし、もしかすると下手なマンションの共益費+積立額より楽かも知れない。当然、一軒家を借りるより遥かに安い…これには後日談があるのだが。住宅金融公庫の落とし穴は、その事務手数料である。万、の単位だと言っておこう。これって金利より高いんじゃないんだっけ、と思った。この時期、金利は安いので、毎月の大雑把な返済額を借金÷返済月数と考えた。返済期間は中古住宅の場合、木造十五年、軽量鉄骨(所謂プレハブね)二十年が上限である。借りるときはこの上限一杯で返すよう手続きをすること。途中で繰上げ返済をしても、再計算はこの期日までの割り算で決めよう。残りが一括払いできるようになったら完済するまでだ。借金の精神的苦痛は低いに越したことは無いから、まず月々の支払額を低く設定しておくのが吉。
 そうそう、印紙代だが、この記述をしている時点で一万五千円である。賢い不動産屋なら売主側に渡すものを省略(コピーを渡す)し、双方で一万五千円、それを折半で七千五百円ずつにしてくれる。一般的には双方それぞれ一万五千円の印紙をつけるのだが、売主はその書類をどこかに出すことも無いので、本来要らないのだ。
 因みに…二回目は何と無借金、現金ニコニコ一括払いである(この時期安かったからねぇ)。

Step 06: 住民票の異動。残金、仲介手数料、登記費用を支払う。
 実はこの残金支払いの前に住民票を移していると楽?安い?らしいが、よく覚えていない。言われるがままに手続きしている。
 残金支払いは私の場合、二回とも銀行の一室(パーティションで区切った部屋)で行われた。予約は不動産屋がやってくれる。不動産屋、売主、買主、司法書士そして債権者(多くの場合、銀行)が集まる。銀行は売主指定が基本。そこで残債処理が行われるから。来ない債権者については完済を示す書類を売主もしくは司法書士が持参しているはずである。司法書士は不動産屋が決めて連絡してくれるので気にせずとも良い。売主・買主に連名者が居れば原則全員が、駄目なら予め不動産屋と共に司法書士を訪れ、委任処理を行ってこの場に臨む。売主は住宅金融公庫からの借り入れがある場合、銀行のローンセンターに予めいつ返済できる旨を告げ(その日に口座から一括引き落としされる)、それが済んだら完済の書類をもらってからこの場に臨む。
 さて、まず司法書士は、売主の住民票の写しと印鑑証明を受け取る。買主は住民票の写しのみだ。そして登記簿と現在の債権者、及びその債権が本日でなくなるかどうかを確認する。
 それが終わるとお金のやりとりである。私の場合、二回とも現金持参した。初めて家を購入した時は、持参した現金をそのまま売主に渡して数えてもらった。数千枚の紙幣を夫婦で勘定してもらうのだが、なかなか大変そうである。二回目の購入時は、銀行に売主が預けて数えてもらっていた。こちらがスマートである。現金を持って行ったとしてもその場で振り込み、となるケースもある。この場合、数百円の振込み手数料が生じるが、それはまあ、買主側の支払いになるだろう。この頃になるとあなたの金銭感覚は随分大雑把になっているからそのくらいは気にしない。残債返金処理の後、領収書を受け取る。無論仲介手数料の方もである。登記は司法書士の先生が事務所に持って帰って手続きをされるので、後日登記が終わったら取りに行くことになった。登記簿の類は不動産屋は保管できない。
 そうそう、あなたが買手であれば、一千万以上の金額を銀行から引き落とす際、小さな支店では予め前営業日までに電話連絡するよう指示される。現金の絶対数が揃わないことには話にならないので、予め確認しておくと良い。

 後は引越し屋に見積り依頼を出すことになる。