最も安い帰省費用

03/22/08(Sat) …と、ブログが自動付加する日付と異なるのはご勘弁。この文を書いた日付が左である。ブログが付加するのはアップロード日付。では本題。
 これまでの私の記述を読まれた方はご存知のことだが、現在私はUターンしようとしている途中である。家や新しい職の都合で、帰省先と現在の住所の間をこの一ヶ月間で三、四回往復する。
 もうUターンする時になって初めて「バス」による帰省をした。今日は帰省先(もうすぐ現住所になるが)からの記述になる。これまで盆・正月・ゴールデンウイークと、年に二、三回帰省していたのだが、この「バス」による帰省が最も安い。同じ移動区間である東京(正確には新宿だが)-博多間を比べると、乗っている時間は二倍少しかかるが、値段も半額以下である。時期によっては片道一万円以下で行ける。家内がいろいろ探してくれた。
 この三月と言う時期は、就職活動や卒業旅行などで様々な移動手段は繁忙期料金である。閑散期にもしバスが出れば八千円ほどらしい。今回乗ったのは四列シート(真ん中に一応補助シートはあるが、使われなかった)であるが、あと三千円ほど出せば三列シート、即ち独立したシートで乗れるバスもあったらしいが、こちらは三月一杯までの募集。
 この安さを探るに、やはり「定期バス」ではなく「ツアーバス」と言う形をとるからだろう。乗客の有無にかかわらず定期的な運行を義務付けられる定期バスではペイしない。名前もよく覚えていないマイナーな旅行会社が企画したものらしい。おおよそ五十人乗りで乗務員二人、地上誘導員が二人。一人一万円として五十万円、運転手二人は十四時間の勤務である。高速代と人件費・燃料費を考えれば利益はあまり無い。まあ、繁忙期だけの路線である。
 ツアーバスであるから特定の停留所は無く、街角で兄ちゃんが予約リストを見ながら「○×行きバスのお客様おられませんかぁ~」てな声を上げて、受付を行っている。そして来た人は街角で待つよう指示される。もう一人の兄ちゃんが電話で車と連絡し、頃合を見て「では皆さん移動します」とぞろぞろと横断歩道を渡ったところに駐車しているバスに乗り込む。
 バスは一応ハイデッカーであったが、普通のバスに比べて特に幅が広いとか前後が開いている、とかの特徴は無い。飛行機のエコノミーよりは若干マシかも知れない。たまたま最後尾(バスの席としては揺れるので最悪だが)だったので、後ろに気兼ねなくリクライニングシートを倒すことができた。しかしそれでも垂直から30度くらいが限度で、骨折が原因で左足が腫れがちである私には少々つらい。また、その程度の傾きでは頭の重量の大部分は首に来るから、やっぱりきつい。周囲を見渡すと、二十代の若者が多いようだ。ビジネススーツの方も複数居たので、それなりに需要はあると思われる。
 バスは全席禁煙、携帯電話使用不可(乗務員はOK)、飲み食いはOK。休憩は乗って一時間強で一回、以降約三時間おきにサービスエリアに停まる。これはトイレがバスに備わってないためでもあるが、個人的には地上に降り立つ機会が多いほうがなんとなく安心だ。「消灯」は11時。しかし10時を回ると蛍光灯の半分が消される。
 私の場合、乗り物の中では大抵寝ることはできない。しかし、花粉症の薬と入眠剤を一緒に飲んだら、寝入りは悪かったけど、奇跡的に眠ることができた。近くには発車直後から乗り物酔いで吐いている人がいた。気の毒だがこればかりはどうにも助けられない。私も子供の頃は乗り物酔いをすることがあったが、現在は本を読んだり携帯ゲームをしたりしても特に問題はない。
 とは言え、夜の発車なので何かする気にもならない。トイレ休憩も初回のみ降りただけで、あとは最終回しか降りることはなかった。若者が多いせいか、オジサンの常である乗ってすぐにビールやカップ酒、という輩も見当たらなかった。みな静かである。せいぜいカップルでの利用だからうるさい子供も居なかった。これらの点は電車には無い利点である。

 新幹線は二酸化炭素を比較的出しにくい移動手段だとJRは言う。でも環境性能で人は移動手段を選ばない。早い遅い、快適性、利便性、価格が伴っていなければ意味が無い。バスはお世辞にも快適とは言い難いが、夜間出発するので到着時刻は翌日の新幹線と同程度になる。まあ、私の都合と同じ人は少ないかも知れないが、ご一考あれ。