Mechanical Pencils

今回の話もペンに関わるものだが、紙に書くトラディショナルなペンについて、のものだ。

半月くらい前、ペン先が折れない、と宣伝しているシャープペンシルのテレビ番組(ニュースだったか、文房具ヲタの話だったか)を観て、某書店の文具売り場に行ったら置いてあったので買ってみた。
まあ、それだけでは話が持たないので、既に販売されていたものと合わせて置いてみよう。

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上から順に後述の(1), (2), (3)に対応します。

(1) 三菱 クルトガ
こちらはちと古いので知っている人も多いだろう。紙面に芯を押し当てるごとに小刻みに芯が回転し、常に芯先を「研ぎ続ける」状態を保って細字が書けると言う奴だが、裏を返せば常に偏って減った芯先での筆記になるので、書きにくい。一方向にだけ先が滑って下手な文字を更に悪化させる。

(2) ゼブラ デルガード
多少ペン軸のデザインがドン臭いが、芯が折れそうな負荷がかかるとペン先金具である芯ガードが降りてきて折損を防止する。非常に凝った機構で、ペン軸の内側形状にも秘密がある。下の図を参照。
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左:適正な?筆圧のとき、右:筆圧過多の時の動作

(3) ぺんてる オレンズ
ペン先の芯ガードから芯が出ていない状態で筆記し、ガードの先は芯と紙面の圧力で引っ込み、その差だけの芯先で筆記する。芯は0.2mmと0.3mmがあり、正攻法の細字実現である。仕掛けは下の図を参照。他のペンに比べるとペン軸が細い。

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左:筆圧をかける前、右:筆圧をかけて書き始めたとき

細い線を求めるのなら0.2mmの一択だが、地方では芯が買えない。この商品の欠点は、定規が使いにくいという点だ。芯ガードで定規の縁をこすることになり、時々芯ガードが定規に乗って芯が露出してしまう。そうなるとすぐ折れるし、直線がブレることになる。また、0.2mmの芯はこの商品用にしか見当たらず、今一つ書き心地が悪い、んー、じゃなくて、細い芯を実現するために特殊な混ぜ物がしてあるせいか、筆圧に対して思ったような濃さの線が描けない?ってことかな。でもこれは0.3mmのペンを選択すれば各社の芯が使えるはずだ。


残念ながらここにあるいずれのペンも、製図用の、同じ価格帯のものに及ばない。なぜなら(1)は芯先が引っ込む(2)は芯先が横方向にオフセットする(3)は定規が使いずらく、また、特にペンを寝かせた状態で芯ガードから芯が出にくい、からである。でもまあ、元々文字は下手だし、普段使いのペンとしては問題ない。

いずれも500円前後で買える代物である。こんな価格帯のものだが、いかに細い線を描くか各社が競っている様子がよくわかる。機械好きなものだからイロイロ面白い。日本に住んででよかったなーと思う。ただ、これらを「ハイテク」と呼ぶにはちょっと抵抗がある。

※各社のホームページを参照するとシャープ(ペンシル)って呼称を使っているのは三菱だけなので、おそらくここだけが正式な名称としてシャープから受け継いだのだろうと予想される。が、昔からメカニカルペンシルのことをシャープペンシル、あるいはシャーペンって呼んでいるのでここは一律シャープペンシルで通した。