セコくてこ狡いアプリ内課金

いや、別にそれで思わぬ大金を払った、という間抜けな話は無いけども。今更、私のような一個人がこんな辺境のブログで叫んでも意味は無いのだが、ちょうどDiablo III(と言うオンラインゲーム)に関する詐欺メールが届いたので生まれてしまった文章を落としておこう。

まず警告。先日私宛に届いたメール。

    Blizzard Entertainment(と言うゲーム会社)の名前で
    "otherwise violates our policies for Battle.net and Diablo III"

なるタイトル。ググればすぐわかるが、詐欺メールである。大雑把な内容は;

「お前のアカウントからチートとかハックなどの不審な動きがあった。ついてはうにゃららのアドレスにアクセスし、そこにIDとパスワードと秘密の質問の答えを入力せよ。しからずんばコロす。」

と言うものである。
実はカビの生えたメールアドレスに迷惑メールと分類されていた軟弱なSPAMだ。ググった先にはDiablo IIIのフォーラムで「これは何だ。お前のところにサポートチームが無いぞ。」「百万回言っているが、IDとパスワードを同時に記入せよ、なんてメールは出さない。」とかまたまた間抜けなやりとりがある。まず、情報の出どころはBattle.netに間違いないし、Diablo 1の時代(にはIなんて番号は付いていなかったが)からDiablo IIIまでのアカウント情報が全部漏れている。また、幾らフォーラムの受け答えで百万回も言ってきたなんて言っても、それはユーザの居る回数だけ言わなければ届かない。ま、それでなんか言ってきても偽物の連絡だと思うけど。それに、Diablo IIIの運営会社はわざわざIDとパスワードを聞かなくてもユーザが自発的に入力してくれるから問題ないし。

ちなみに、私はDiablo IIIのゲーム/アカウントを持っていない。Diablo I/IIまでは完璧だったのに、IIIのあこぎさがプレイヤーを裏切ったからだ。


今Windows Pro 8.1で監獄(そう、breakすべきjailはここにもある)の中のゲームアプリを見渡すと、アプリ内課金花盛りである。RPGであれば「ゆっくり」楽しむ分にはある程度までいけるので、製作者の方々には申し訳ないと思いつつ、シナリオが破綻するところまでは付き合ったのも幾つかあった。

だが、アプリ内課金はゲーム界の悪貨であると断言する。家庭用ゲームコンソールやパソコンのゲームってのは一括買取で幾ら、と言う点にアドバンテージがあったはずだ。ファミコンまで勢いのあったアーケードは、子供に無駄に金をつぎ込ませる、と言う道徳上の理由により学校の規定に抵触し、私のいた学校では見回りの教師(笑)により、夕刻過ぎにそのような場所に出入りしていれば補導、とまでは行かないまでも教育的指導が入ってたりした。

それがアプリ内課金ならこっそりできる。この場合の主語は少年らではなく、オトナである。オトナによる金の吸い上げが簡単にできる。そのシステムがインターネットを使っているのなら、通信事業者共々割増の税金を絞ってよい。昔、意味のないアバターの装飾品にK国の女の子が金をつぎ込んでたいへんな目に遭ったなんてニュースもあったが、その対策は何もなされないままである。まあ、先生からして大半もスマホに入れ揚げている世代に入っているのでこの放置は続くのだろう。

言っておくが、私は元ゲーマーである(と自認している)。「ゲーマー」なる言葉が生まれた時期にマイコンとかパソコンとかコンソールゲームをリアルタイムでトレースした者である。決してゲームを内向的な遊びと揶揄するものではない。どんどんゲームを出して欲しい。Zork、Ultima、Wizardryの三大古典は元より、ドラゴンスレイヤーとかキャッスル&プリンセス、ハイドライドとかピンボールとか走れスカナントカとか、The Screamerとか、Life and Death、などなどが出た頃にはサルのように徹夜も経験した。そして今でも楽しいゲームを探している。(最も熱中したのは漢字Talkをいかに長時間安定して稼働させるか、と言う「ゲーム」だ。)

でもアプリ内課金だけはゴメンだ。個人的には従量制課金も。アプリ内課金は、折角アフリカの少年とゲームで会うことができても、仮想空間にまで貧富の差を広げるし、何よりもその空間で現金が行き交うことに文字通りの幻滅を感じる。
ところで国際的なネットワークを通して行うゲームの場合、その関税は誰がいつ決めているのだろう。

ゲーム制作の現場の痛々しい声もよくわかる。新しいものを生み出せず、かと言って映画と同じ投資額で回収できるのは僅かなもの。デスマーチの結果、採算割れで倒産なんてのを少しでも防ぐため、定期収入元として、アプリ内課金ゲームをリリースするのだ。フレームワークは殆ど変えずに絵とセリフだけを入れ替えたような、クリエーターの誇りすら捨てた粗末なものである。そういう意味では高級な(って何かは各自の判断だが)ゲームの限界が近い、ってことか。いまや低質のアニメブルーレイが1シーズン6万円超で売られる中、買い切りのゲームが二万円では割に合わない。従量制バンザイ、もっと煽ってアプリ内課金に追い込め、ってのが情けない実状だ。スマホが日本人の困窮化と白痴化に因果関係があるとしても追求できない弱肉強食の現場である。
だいたい本尊マイクロソフトからしてOffice365なる従量かつ定期課金モデルでサーバからアプリケーションまで揃えているのだから、そのセールストークに乗せられた無能なソフトハウスはその支払いのためにハムスターのごとく輪の中を駆けるだけである。

知恵があれば、インターネットは基本無料である。だがドメインの維持のためには幾ばくかの支払いをするのが正義だろう。事実ドメイン管理サーバは世界の何か所かで実際に365日稼働しているのだから、それを維持するためには誰しもペイすべきである。
マイクロソフト視点で見れば、FSFなどが悪貨に映るかも知れない。だが、人のありかた同様、ネット社会も多様化すべきだ。サーバの種類とか配置方法とか、「こうあるべきである」と言う主張やら教科書の何と多いことが。そんなもの無視して、例えばクライアント一台を直結、なんて贅沢な使い方でも良いのだ。なのにそんな大げさなトンデモ本が売れるのは、SEとプログラマ、学校の先生の仕事を増やすためである。「セキュリティ」が大儀だが、私は全くセキュリティ対策ユーティリティを入れてないWindows PCを一台持っている。それはWin98の時代からOSのアップデートを経て今に至るものだが、かつてこれまでウイルスに感染したことが無い。無論使い方はある程度固定的だが。何もしなくてもOSが勝手にアップデートしてセキュア化しているので、それを外すのに苦労するが、外しきれない分だけで運用可能である。たまにオンラインのフリーウイルスチェックをしてみるが、一度も引っかかったことがない。
「セキュリティ対策」の枠を外されたPCはすこぶる速い。そもそも「ユーティリティ」とはパソコンを使うためのソフトウェアで、意地の悪い言い方をすれば「枷」である。外せばプロセッサの進化の本当を知ることができる。

また脱線して何を話しているのかボケてしまった。そのインターネット、ってのがゲーム内アプリ、従量制課金の原因だ。それでも、インターネットは便利だし今更手放せるほど器用じゃない。

信じられないかも知れないが、昔々、インターネットは商用不可、って言っていたはずだ。今や何のためらいも感じずに普通にビジネス用ドメインは取れるし、広告やアフリエイトで直接的な商用利用も簡単だ。最早、それがなけりゃ成立しないビジネスだらけだ。インターネットを商用利用してもok、って言ったのは一体誰で、幾らもらっているのだろうか。
そう、それがアプリ内課金の「原罪」だ。


ああでも、日本じゃインターネット以前、電話会社独自の通信網の時代からアプリをインストールしているだけで定期課金もなされてた。あれもアプリ内課金が蔓延る地ならしになったのだろう。