「日本の技術」なんて「無い」

最初で最後の技術「論」(笑)

んー、あんまり言うとやれ右や左と言われちゃうから話しづらいのだけど、やはり一度はコメントしておこう。

特にNHKでしばしば耳にする「日本の技術」なる言い回し。なんだかそれは「高い」レベルにあって「日本が世界に誇れるもの」の一つだそうである。主に理系の科目を学んだ人間で、「技術」系の会社で「開発」の仕事をしている個人として、私はこの言葉にいつも違和感を覚えている。自画自賛、国民のマインドコントロール、島国根性丸出しのマスターベーションと感じるほどである。

そもそも「技術」とは何か。
端的には、何かをなす時に、「正確に」、「速く」、「安く」行う知識とスキルのことかと思う。この「スキル」も問題のある表現だが、ここでは「知識」をモノづくり、システム構築に実践・実行する能力、とだけ言っておこう。ただ、日本国内においては「他に無い」ことが最重要視され、それを諦めた者たちが「正確さ」即ち精度に拘る傾向にある。いずれを重視するかどうかに関わらず、それは習熟できるものであり、日本人だけに学べる特権があるわけではない。つまり、日本独自の(高い)技術というのはどこにもない。いや、むしろ「安さ」については、国民の存在にべらぼうな金を取る日本政府が阻害してるため、他の国には勝てない「技術」ではなかろうか。
「技術」系の仕事をしている方々、危機感を持っているか。

もしそれが他国に対して「高い」レベルにあるとして、他国との有意な違いがあるとすれば、それはせいぜい国民的な性格や性質、つまり「国民性」という曖昧な違いによる程度だと考える。「まじめ」「勤勉」そして「臆病」な「国民性」。しかし、詳細を解析するのは文系の諸君に任せよう。理系の人間は決して自分を「技術者」なんて呼ばないことだ。それは思い上がりへの第一歩である。我々にできることはただひたすら勉強にいそしみ、Try & Errorを繰り返すことだ。それをやらなくなったとき、まあ、例えば専門書を開かない日々が一年も続けば、それは事実上の引退を意味する。そう、理系の人間ならばそんな人生の区切りも自分で決めるのだ。

例えば対中国。今国内の二次産業は中国との棲み分けに馴らされて、それこそ「日本ならでは」にこだわっている。中国は少なくとも「安さ」に秀でている。それはただ同然でモノ作りのノウハウを彼らに教えた自分たちに責任がある。そのノウハウは日本の「資源」だったのに不況に苦しむ企業は惜しみなく海外に手渡し、モノ作りの場を勝手に広げてしまった。これは理系の人間ばかりの責任ではない。その政策を甘んじて許した、いや、この大切な事実に気付きさえせずに甘い通関手続きですませてしまった文系諸君にも問題がある。中国がでかくなり過ぎたからタイとかマレーシア、アフリカ諸国に展開して更なる「安」モノ作りをしようとしている。まあ、他国にタダでノウハウ教えて自らその販売を買って出ると言う、なんとも「都合のよい国」になってしまったものか。
商品を売るなら最高級品でかまわない。しかし、ノウハウを輸出するのならB級品に留めるべきだ。国営放送では数少ない独自の「技術(笑)」を持つ人々を次々と紹介しているが、それはその人、あるいは法人個人のものであり、国民のものではない。彼らにはその技術を極める理由が明確にある。それもまた、国内の技術者気取りのフォロワーとの有意な違いである。そしてそのような人物は世界中のどの国にも居る。

先ごろやっと終了したオリンピック放送で明らになったように、国営放送に考え方を操作されるのは馬鹿げている。こいつらが勝手に喧伝している「失ってから現れる神話」の多いこと。安全神話?技術立国?ふざけるな。あの勘違いしている無能なボルトとナットの間に何も挟まない会長をさっさと懲戒し、民営化して自分で稼げ。

例えばコンピュータプログラマ。私にとってそれは数学と物理の混合で、プラス少しばかり性能重視のスキルを混ぜ込んだものに過ぎないが、もしちゃんと仕様を細分化し全体を曖昧に見せる仕様書を書ける企業が、インターネットを通して全世界にアルバイト入札を提示するようになったら自分が食っていける自信が無い。準税金、つまりは介護保険や健康保険など、そこに居るだけで上納させられる事実上の税金と生活費が半端無く高いこの国のプログラマの大半は職を失うだろう。プログラマはデザイナ(ここではソフトウェアの設計と言う意味での)にならなければ意味がない。コーディングなんてスキルは子供のパズル遊びに過ぎない。さっさと卒業すべきである。もちろん、設計を行うには、完全にコーディングが可能であることが保証でき、いざと言うときは自分でコーディングできる裏付けを持ってて当然である。もし私に少々の資本と時間、それに営業&マーケティングを任せられる人材があれば、このような国際的プログラマ求人サイトを立ち上げるのだが。でもね、探せば既に世の中に幾つか存在するのだよ。そんなサイトは。
全世界へ求人するサイトが作れれば国境はななる。たとえ軍事目的のソフトウェアとしても、適切に分断されて完璧な仕様書群が書ければ、そのインプリメントは世界最安あるいは最短、あるいは最高品質で得ることができる。それをマージするリーダーが各企業にあり、その相手をするプログラマ紹介所があれば可能である。これにより「国」の概念は希薄なものになるが、それが理解できない奴らから金を搾り取れば良いのである。

「技術」と言う実体のないものにしがみつく「技術者」(と自らを呼ぶ奴らを嘲笑しているのだが)ほど醜いものは無い。いや、権力にしがみつく(俗に「先生」と呼ばれる)「技術者」よりはまだマシか。
これからはいやが応にも少なくとも日本国民は(高価な)日本製を買うべき時代になる。それを自ら判断できる次のレベルの、無論自分で考えられる国民にならなくては意味がない。もちろん、技術屋はそれに見合うだけのテクノロジで作った優れた製品を提供する責任がある。これらのことを、NHKの根拠のないマインドコントロールに任せると言うのは最も愚かな考え方である。

※ここで「文系」とか「理系」などといった言葉を用いてしまったがもちろん人にレッテルを貼るつもりはない。個人から見てその境界は「気持ちの持ちよう」一つであり、大学の何学部を出たかなんて全く意味が無い。オールランダーでいること、それが目標の一つだ。