オークションのすすめ(2)

今回は買い手になる場合。
 
「買う」場合:得てして「売る」の逆だが;
 
・基本的に中古品であることを理解すること。当然のことだがこれができない人が多い。「新品」と書いてあればそれなりのものを期待しても良いが、「新品同様」「展示品」「未使用」に踊らされるのは止めよう。それらは中古品だ。特に「展示品」はそれが「ジャンク」である場合もある。「希少」品は前に書いた通り。
 
・ジャンクの意味を理解し、正しい金額で入札すること。これも言葉が通じない人が多い。ゴミ、なのだ。つまりジャンクと言っているものを買って動かなくても文句を言わないこと。その程度の金額しか入札すべきではないし、それ以上出すなら自己責任であることを認識すること。
 無論、ジャンク漁りは楽しい。他人のゴミを自分の楽しみに転化できたときの喜びとお得感は捨て難い。その可能性に対して値を付けるのだ。
#あー思い出した。PCを「ジャンクだ」って言って出品してるのに、メーカーに名義変更を申し出てサポート継続できるか、何て聞いてきた人がいた。まあ、誠心誠意調べて返答しましたけど、これは何か間違っている。
 
・新品であっても返品保証は殆どの場合、無い。保証期間のサポートも無いし、保証書への押印も無いからメーカー保証も無いと思った方が良い。書いてあれば別だが。
 
・送られてきた物は即座に開封する。そして「新品」と書かれていて動かなかった場合、また、告げられていない瑕があった場合、即座にその旨連絡する。告げた期日までに納得のいく返答が得られなかった場合、迷わず「非常に悪い」評価を記入しよう。特に業者(を名乗る出品者)に対しては社会的な影響が大きいので厳しく当たるべきだ。その時点で出品者には言い訳する権利は無い。業者の中には「当方にはお客様を評価するなんてことはできないので」評価を辞退する、なんて要は評価しないでね、と言ってるところがいっぱいある。お客様なら評価されなくてもその通りかも知れないが、だから売り手である私の評価もしないでね、とは日本語がおかしい。それは落札者の権利を阻もうとしているのだ。どんどん評価すべき。
  「非常に悪い」評価をすると同じ評価を付けられるかも知れない。その時は、その経緯(事実のみ)を評価回答欄に記載する。自分の対応に不備がなかったことを示すためだ。このような記載をされた業者は、相当悪いと思った方が安全だ。業者なんで「非常に良い」評価なんて数万もある。評価欄によるその出品者の信用は、「良い」「悪い」の相対的な数で判断すべきでは無い。「悪い」評価の内容が重要だ。「悪い」と評価された経緯が明らかでなく、かつ反省が見られない出品者には手を出さない。「非常に良い」評価を不当に、大量に稼ぐ方法なんていくらも思いつく。
 私のケースでは、中華模型を輸入販売している○○商事なる業者から新品と言われて不動品を購入し、悪い評価をしたら、それまで付けられていた「非常に良い」評価をわざわざ取り消して「非常に悪い」評価を付けてきたことがある。自動車用品を売る店なんぞも、普通の店舗販売じゃそんなこと言わないだろ、って出品者はそこらにいる。
 
・本当はどうだか知らないが、元々「オークション」ってのは、中古品、骨董、ガラクタの類を売買することを指していると思っている。(うーん、魚のセリなんかは違うなあ。)なので「新品」ってのは非常に運が良い買い物だと感じていた。それが、回数を経るにつれて、通信販売と同じと思ってしまうかも知れない。でも違うのだ。相手はその商品を盗んだのかも知れない。本当の店舗があるからと安心感を与えるかも知れないが、別会計、即ち脱税しているかも知れない。そんな相手と取引することが、どう言うことを引き起こす可能性があるか、予想しよう。その取引の結果起こりうる社会的な騒動については落札者(そして時には入札者)も責任を負うのだ。
 
・アンティーク品は高価でも「動かない」あるいは「低級品」と思って購入すること。時計などは動いていてもオイル切れなどメンテナンスが不十分と心すること。機械類は複雑度が増すにつれ累積的にボロい。
 
・同じ品物が他のカテゴリに複数出品されていることを考慮して、検索はなるべく広範囲で行う。送料を含んだ価格で安いものを選ぶ。
 
・同じ品物の場合、一般的に、週日、しかも昼間の方が安く落札できる。(売る場合と反対ね。)
 
・オークションには多数の店が出品しているが、殆どが脱税狙いの(失礼!)B級店だ。そこに並べられた物は商品ではなく、出品物だ。市場を流通する「商品」の価値が得られなかった/得られないものだ。
 
・当然だが、一般市場の適正価格を知ること。中古品でも新品でも。オークションの価格は必ずしも市場最低価格ではないし、スタート価格にしてもそうだ。値段を上げている間にちゃんとした新品を買える値段を超えてるなんてこともある。
 
・同じ人が、同じ商品を、同じ写真を使って多数出品していることがある。その人の出品物をみると、殆どが同じ価格だが、一品だけ、他より低い価格がついていたりする。つまりそれを売るのが出品者の意図であり、あなたが購入すべく検討する価格はその低いものだ。
 但し、最近はやや複雑になっていて、何かのオプション品がそいつだけ付いていなかったり、型が古かったりする。写真じゃわからない。悩む前に良く読もう。
 
・買い「急がない」こと。のんびり待つヨロシ。
 
・入札前に送料を見よう。同じ品物でも相手によって送料が三倍くらい違うことがある。まあ、海外からEMSって場合もあるから、納得できればいいんだけど。
 
・「(店舗販売もあるので?)在庫があるとは限らない」と言っている出品者には気をつけよう。買い手を馬鹿にしてる。こんな場合って昔読んだ約款では、出品してはならない、と言う約束だった気がする。
 
・売り手、買い手いずれの場合も、相手につける評価は「非常に良い」か「非常に悪い」しか意味がない。
 

 とまあ、振り返ってみれば何だか面倒なことを長々と書いてしまったが、オークションの基本は金を捨てる勇気をもってガラクタを買うものだ、と思っている。趣味人の買い手であっても、売り手になるときは商売人同等の良識が必要である。
 
 以上はあくまでも個人としての関わり方だが、もし、自分が業者だったらどうか。
 オークションに限らずネット通販だけの店舗は、それで食っていけるものだろうか。家で稼げるネットショップで生活できないかなあとヒッキー的に考えたこともあるが、まあ、店舗販売者の収入の「足し」になる程度と思った方が良さげである。特に在庫を抱えるようじゃ、だめだね。そしてそんな素人業者の横行は、上述のような姑息な手段で商習慣を悪化させる。迷惑な社会悪だ。