「想定外の」って言うな

フランスの皆さん、
米国の皆さん、
IAEAの皆さん、
放射能漏れに対する技術援助ありがとうございます。

東電の下請けの皆さん、自衛隊、消防、地域の消防団、ボランティアの皆さんお疲れ様です。

東電の皆さん、政府の皆さん、バカヤローだね。
原子力施設関連の役人、研究所の皆さん、これまでもらった給与と補助金返して下さい。

 知り合いも居るから言いづらいこともあるのだけど、今、原子力関連の研究所の皆さんは忸怩たる思いで海外からの技術援助のニューズを聞いているだろう。例えば今回津波や放射能の被害になった某市の基幹企業は政府の補助金でもう二十年以上も前から原子力施設内で動き回るロボットの技術開発を行っていた。某大学も然り。でも今回その成果は殆ど見えない。
 まあ、私自身がメカ的な下地が大きいので、その分野への見方が厳しくなるのだけど、これまで投下された補助金は一体幾らだったのだろう。
 まあ、それも馬鹿レンホーの事業仕分けでロボットの維持費が賄えなくなった、との言い訳もあるかも知れない。

 今回の原発人災事故の最大の責任者は東電である。政府対策の足を引っ張り、遅れさせたのみならず、現在の放射能測定値すら都合の良い数値以外は隠蔽しようとしている。政府は政府で確かに情報公開は続けているように見える(某官房長官の一人芝居の様相もあるが)が、イニシアティブを握っているとは思えない。なぜなら彼らの言葉が全て伝聞調だからである。
 まあ、この文章もデマの一つだが(それは認める。これは私個人の意見に過ぎない)、IAEAの避難基準より日本の基準が緩いのは何故か。どうせ最終的に海水を当てにして海岸べりに建てた原子力発電所は、なぜ水門一つで冷却できる海抜ゼロメートル以下に建てられなかったのか。
 それらの疑問の中枢にいるのは東電に他ならず、場所が変われば他の電力会社への問いになる。


 私は今東電を非難しているが、我々住民の方にも非はある。その原発の近くにあって建設を受け入れ、
数々の資金投下を受けてきた人々は今回のような事態を当然想定し、覚悟して然るべきである。「いや、電力会社の説明では…」なんて言い訳は通らない。
 東電が倒産覚悟で彼らの支援をするのは当然だが、それはその恩恵を享受してきた人々が全てを負担するべきである。

 政府支援がどうのこうの、と声が上がっているが、為政者の言動は慎重に行って欲しい。特に金の話は「政府=被害を受けなかった全ての国民」ってことなのだ。
 今回の被害でケアホームや国内のサービス業は盛んになるだろう。働き手の需要が広がる業種となる。しかし、でもそれは「産業」ではない。真の復興のためには金を稼ぐ「産業」の復興が急務なのだ。

 だからと言って、今この瞬間、かの地のシャチョー共を励起させてもう一度走れ、と言うのは酷だし、不安でもある。借金を背負って塵芥と化した工場を再建するのは簡単では無い。そのような余剰金があるのなら、冷たいようだが迷わず被害を受けなかった地方に投下すべきである。そうすればそれに連れて自然と(あるいは補助をして)発生する人口移動が良い結果を生むだろう。

 そうだ、今日国会を通った子供手当てのつなぎ法案?てなものがあるのなら、それを今回の被災地の子供に集中させるくらいの知恵と柔軟性は無かったのだろうか。被災地以外にはその手当て無し、被災地には何倍かの手当てを、とやったとしても来年度くらいは受け入れられるだろう。関西人はケチだが、決して冷たい人々ではない。


 技術者ならば「想定外の」って言うな。
 何も生み出す覚悟なくして「政府の支援を」って言うな。


 私は、日本がこの災害から如何に立ち上がり、如何に未来に残すか、実はとても興味がある。それはもはや経済大国とは言えないこの島国の、新しい価値を生めるものなのだ。回復のやり方によっては、これまでとは違った存在価値を世界に知らしめることも可能なのだ。

 今、かの地で災害復興に当たっている青少年のみんな、私の親の世代が繰り返し「戦争中は…」って愚痴をこぼしたように「あの災害の時は…」って言うような情けない大人になるんじゃないよ。災害は戦争とは違う。あなた方の経験は、ちゃんと収めるべきインフラなり、データベースがあるのだ。どう言う形なのかはまだ私にもわからないけれど、そのバトンを間違いなく次の世代に渡して下さい。そしてそのバトンは、国内に向けるのではなく、常に世界のために。(それが日本の「産業」につながればベターなんだけどね。)

 まだ、こんなコメントをするには早過ぎるかも知れないけど、今私の、いや世界の興味を惹いているのは被災者の方々と、私たち残りし者の行動だと思うんだ。