工学的な部屋からの一考

はぁ~

部屋の中を見ると半分は趣味の道具を突っ込んだダンボールで埋まっている。

まず、PCでしょ、半田ごてでしょ、革細工の道具とラジコンの飛行機とヘリコプター。
ステッピングモーターが十個くらい、電子部品のケースが三十個くらい。一般家庭には珍しいだろう「シーケンサ」ってコンピュータが転がっている。
机の上にもプロセッサボードが、三個くらい。おお、その横にはアマチュア無線のトランシーバが二つ。ヘッドフォンっていったい幾つあるかも数えたくない。
足元にわが愛車、原付アプリリアに付ける予定のシリンダとキャブレターとインマニ。あ、別のエンジンに付けるつもりの燃料噴射装置もあった。ああっ!隣の部屋には作りっぱなしの自転車がある。
それらに関する雑誌や資料なんてのも無数に散らかっている。

「いつの間にか片付けられない人間になってしまったっ!」

 これはいかーん、とこの半月ばかり凹んでいる。
 あがきとして二台ある同型のパソコンを今日一台ヤフオクで売却。捨てられなかったPCの部品やケーブルもかなり思い切って排除しようとしたのだけど、まだ上のような状態。

 こんなもんで遊んでいるのが自分のデフォルトなのかぁ。とかなり真剣に悩んでいる。

 ここまでは事実。ここからは考え。

 モノを集める、って趣味がある。でもこれは最近振り切れた。まあ、年をとってくると誰しもそれを無意味だと悟る。(いいや、意味あるものにしてやるっ、て人は個人博物館なんてのを造りますな。)
 興味の対象がどんどん刹那的なものになってくる。何かを「やる」ってことに意味があって「達成する」って満足感はどんどん希薄になる。
 金がかかるものもNG。自分より巨大な経済力を持つ人は常にいる。(だから「集める」趣味はむなしい。)
 飽きたら取り敢えずホッタラカス。幾つかの興味の対象は何ヶ月かごとに(時には変則的に)一巡してまた戻ってくる。結果、私の部屋ができあがる。
 共通しているのは
「世界にたった一つ」
ってモノを創り出そうとしていること。限りない自己満足。
そして
「世の中のことすべてを知る」
ってことが私のできる精一杯の「あがき」だと知る。それは「楽しみ」だ。「すべて」に関して深い知識と造詣を。ヲタクなんてひよっこです。この小さな脳髄にどこまで知識を詰め込めるか。そして大切なのはそれをいつ「使う」か。
 知識を「使う」のは何も仕事や世の中のために使うばかりじゃない。それよりも物事に際してどれだけ自分の中でその事象に対する分析ができるか、と言う満足感を得られることの方が大きい。そう、これも自己満足。

 まあ、でもね。お子さんがいるご家庭を考えると、こんなちっぽけな悩みやコダワリってどうでも良いと思う。彼らを育てること、それだけが意味のある仕儀なんだね。それはホモサピエンスにとっては「正しい」と思う。生きるものの仕様書。そう、あなたにお子さんがいるとしたら、あなたは既に「世界にたった一つ」を持っている。しかもそれはモノじゃなくて、成長するものだ。たかが人間の脳髄ごときに蓄えられる知識では到底造りえないものなんだね。
…まあ、理系的な発想かな。でもそれでもよくわかる。子供、大切だよね。数日前のニュースで子供をゴミ箱で死なせた親の話を聞いたけど、それがどんなにか悲しいものか。死んだ子供はもう悲しまない。じゃあ誰が悲しむのか。親は当然として(ああ、わかってるよ。でもそんな「親」でも取り返しのつかない喪失感を一生背負っていくと思いたい)、私の心も痛い。皆の心が痛いと言っている。だからその親を殺してしまうほど非難するんだよね。そうでもしなければ皆生きていけないのさ。


 うーん、散らかりっぱなしの部屋から、どこまで想いが広がるのやら。


…(しばし推敲)この散らかった部屋→裁判ネタ、と散逸した考えはつながっている。つなげられなくなったら所謂痴呆症なんだろう。でも普通の人でも、ヒトはまったく関係のない世界を幾つも生きている。それらの唯一のクリッピングポイントが脳なのさ。自分にしか解釈できない。いや、普段「解釈」なんてしなくてもその場その場をやり過ごしている。数学の問題に悩んでいた一分後には夜食のお菓子に思いを馳せる、なんて誰でも経験あるだろう。ただそれはささいな事だし、誰かに見られることでもない。
 ヒトは社会生活を営むとき、他人の前では「つながっている自分」を演じている。誰に強制されるわけでも無いが、言動が飛ぶと(そしてそれが説明できないと)変な人だと思われるのが嫌だから。私も(普段は)そうだ。
 でも私はその「世界」が切り替わる瞬間に興味がある。
 最近気づいた。私の文章の中にある「まあ、」ってのが曲者なんだ。どうして「まあ、」と入れられるのか。そこで少し世界観が変わっている。この「まあ、」ってのがなくなれば、自分は何に変わっているんだろう。知識が足りない。

 こんな文章を長時間かけてひねり出すのもデフォルトの自分、かなぁ。ちょっとばかり人目に触れさせたくない文章だけど、この駄文にも何か意味があるかも知れない、ってんでアップロード。誰かこの文章を解析してくれ。