花粉モノ

03/15/09

 誠に月並みな話題で申し訳ないのだが、最近購入したモノに感心させられたので今回は花粉対策の話題である。

 まあ、今年もピークを迎えて花粉症が発症している。私の場合、スギとイネのアレルギーだが、特に反応のひどいスギの季節は憂鬱である。毎年、「今年は放っておく」と決めているのだが、ピークの二週間ほどはやっぱりきつい。鼻が詰まって息ができず、浅い眠りになってしまう。結局今年もかかりつけの医者から薬をもらっている。

 通常、一月を過ぎると「早めの対策を」と医者にかかることを勧める報道が多いが、なに、どうせ対症療法だからつらくなった時だけやれば良いと思っている。
 医者からもらう薬の他に、家内がいろいろ対策を講じてくれる。甜茶(漢字わからない)や、鼻栓、マスクなどなど。今年は奮発してパナソニックの加湿洗浄器EW6400と言う奴を買ってくれた。今回はこれを中心に書こう。

 EW6400がどんなものかはググって頂くとして、簡単にスペックを書くと、(1)起動後1分程度で蒸気が上がる、(2)霧の粒の大きさが、のど、鼻ズルズル、鼻づまりに応じて選択できる、(3)霧の量が調整できる、(4)霧の温度が調整できる、と言う卓上型のものである。価格帯は8000円から10000円くらいで、各社しのぎを削っているそうである。中でも(2)の機能はパナソニック特有とかで、鼻づまりの多い私にはありがたいかな、と思った。

 実際使ってみると、大衆家電を目指した旧ナショナルの製品とは言い難いほど操作が面倒である。まず付属の30ccのカップを使って本体ボイラー内に水を注ぐ。次に本体前面からスライドして出てくる水タンク、これは中で二つに分かれていて、その片方に100ccの水を入れ、シリコンチューブをその中に浸す。吸入口の付いた上蓋を閉め、スイッチオン、でやっと使えるのである。霧の調整は本体横のツマミで行う。

 どうしてこんなに面倒なのか考えた。

 霧とは水蒸気が飽和して水滴になった状態である。一方蒸気はあくまでも気体であり、霧とは異なる。実はこの二つを巧みに使い分けてあった。
 まず最初に気密性の高いボイラーに入れる30ccの水。これが気化する。水を入れて硬い蓋を締める容器は工業用プラスチックで、電気で沸騰させる。その容器の蒸気を霧吹きの気体として、前タンクに入れた水を霧で噴くのである。だから出てくるものは蒸気と水滴となる。なるほど、蒸気だけでは量が多ければ出てくるまでに時間がかかるし、第一熱いだろう。

 水滴の大きさを変えられるのは、噴射直前に通路内にしきりが設けてあり、ツマミの操作でその仕切り板が霧吹きの通り道を遮るようになっている。遮られた場合、大きな質量の水の粒子はその仕切り板に当たって水滴として回収される。一方の蒸気、もしくは細かい霧は仕切り板を迂回しても噴射される。

 蒸気の温度は噴霧管の途中に設けられたスライド式の仕切り板で、外気を取り入れることによって行われる。

 素晴らしい。あたまいいなあ。使い勝手の悪さは、仕組みを知れば納得できるだろう。噴霧が終われば、内蔵タンクは空になっている。噴霧が終わったら電気を切れ、と書いてあるが、そこは自動的にやって欲しいかな。

 以前、もっと携帯性の良い電池式霧吹き器を買った。結構値が張ったと思ったが長続きしなかった。粒の大きい水だったのでやたら濡れた。

 実は私、このような蒸気なり霧による鼻の治療には懐疑的である。どんなに高い機器を買っても出てくるのは水。うちのお袋はのどが痛みやすいのでもっと本格的な医療機器で吸引をしている。それは薬などを混ぜて噴射できるのだが、今回のような花粉対策品は水のみにせよ、と説明書にはある。まあしかし、上記のように霧吹きで噴霧される水の側にハッカオイルを一滴垂らす程度なら機器に影響は与えまい。昔アメリカに居た頃は、室内加湿器の噴霧口付近にオイル溜めがあって、好きなアロマオイルを入れておけた。

 …っと脱線しそうだ。
 実はこのクラスの機器には弱点がある気がする。蒸気を吸引するとき少し顔が下向きになるのだが、それで鼻が詰まってしまうのだ。まあ、吸引を終えて鼻をかめば意外とスッキリするのだが。

 で、今年のヒットは上記の噴霧器では無い。「鼻ノア」なる鼻腔洗浄器具である。何のことは無い、小型の哺乳瓶のような容器に生理的食塩水+ミントオイルを少々垂らした程度の液を入れておもむろに鼻の中に水を噴射するのである。これは専用のボトルだとおおよそ10回分で八百円もするが、コンタクトレンズ用の生食なら三百円くらいか。自分で作ればもっと安い。
 いや、また脱線した。通勤の後、こいつで鼻の中を洗っておくと比較的安泰に過ごせる。帰宅してもう一回。

 私は小学生の頃、鼻炎と判断されてしばらく耳鼻科にかかったことがある。そのときいきなり両方の鼻に管を突っ込まれて水を注入され、ボロボロ涙を流しながら鼻腔内を洗っていた。そのため、このような機器にはあまり抵抗感が無い。油断すると耳のほうに水が流れて中耳炎になるそうだから、水はちゃんとした精製水を使ったほうが無難だろう。ちょっと気になるのは、この鼻洗い、昔、鼻腔内の器官を傷める可能性があると言うことで廃止になったと聞いている。確かにその後の耳鼻科では細いバキュームを使って鼻詰まりを吸引する方式になった。でも個人的には鼻洗いの方がすっとする。

 他には百円ショップの「鼻栓」綿を円筒状に丸め、ハーブを少し浸み込ませたもの。もちろん使い捨てでマスクをしないと恥ずかしいが、通勤中の鼻水防止にはなる。困るのは外したときにハーブでスースーしてやたら鼻水が出やすくなっていること。まあ、それはそれで、鼻が詰まるよりは良い。
 
 とまあ、医者からもらった薬と、涙ぐましい努力(実際涙も止まらない)で今年も乗り切るのだ。