個人と公民のはざま

20081101
 某空幕長(…「某」って一人しか居ないんだよね)が出した論文の内容で更迭された。何でも先の戦争について、わが国が侵略国家だったと言うのはヌレギヌだとする論文を出したからだそうである。そんな「論文」を出す場所があると言うのもびっくりしたし、ヌレギヌと言う言葉が「論文」にマッチするかしないかは私見であると言われてもしょうがないが、「ちょっと待て」と言う感じである。

 予め断っておくが、私の中では自分は右派でも左派でもないつもりでこれを書いている。この文章を読んであなたが私をどのような人間か判断するのは自由であるし、この文章をこの場に挙げるからにはそれなりの批判を受ける覚悟もある。そして、これまでも多くの制服組の長がそうした言質を取られて同じことが繰り返されたのも知っているけど、今これを言おうと思ったんだ。

 日本政府が、いや正確にはその権限のある人が、外交的に問題がある、野党との調和に問題が出る、と言う判断で当人を更迭した、と言うのはわかる。わかるが「更迭」と言う具体的な行動がなされる国家、と言うのも怖い。
 この処分をするに関わった官僚には「言論の自由」は頭をよぎらなかったのか。それはそれでこの更迭された公務員と同じレベルの公務員である。現在の与党は、むしろ論文の内容を肯定的に捕らえる方々寄りの政党だと思っていたのだが、違った? 何かを怖がって何も主張しない政府ってのはどうか。まあ、大臣やら首相やらはいかにも「個人的な」風に公式見解を述べているが、どうせ官僚や補佐官らの入れ知恵だろう。この個人の述べたレベルまで降りてきて、反対の論拠を述べる人物なり組織は一つも見えない。何とかしろよ、マスコミ!仕事サボんな。

 まあ、軍隊の長であるからそれくらいの覚悟があって当然、てな年配の方々の声も聞こえてきそうだ。個人的には空幕長の見解もどこでそんな考えに至ったの?とコイチジカントイツメタイ気もする。まあ、放逐されたその後のこの人の活動内容にも興味はあるけど、そこらの黒っぽいバスにスピーカ据えた一団と一緒になってもらっては…ツマラナイなぁ。

んー、私はこのしょーもない金食いへっぽこ政府に一体何を期待しているのだろうか。