ややこしや

リスク細分型自動車保険(任意保険)の話

これはここ一連のVmaxに関するものではなく、四輪の自家用車に関する話である。
私は軽自動車を一台所有していて、その任意保険の更新時期が来た。
一昨年まではM社のネット保険に入っていたのだが、保険金額の比較では最も安くお得であった。ただ、一か所に長く居座ることは是としない性格ゆえ、常に他の保険はないかと探した揚句、今はZurich社(以下Z社)にいる。M社は昨年から細分化の内容が変わり、エコカー割引なる、加入者の安全運転努力に全く関係のない項目で価格差を付けてきたので辞めた。そのくせ、剛性ボディの特典は消えてるし。(エコカーの代表格、うちの父親が購入しましたが、紙でできてるんかい、と言うほど軽ーく、ふにゃふにゃだよ。)何でもM社のエコ推進方針に則って、の施策だそうである。これでは困る。今後が不安だ。金だけをやりとりする商品なのに、その価格の裏付けのロジックが全く見えなくなった。「会社の方針」で商品が勝手に変わっていく。新しい商品を追加するのならともかく、毎年更新タイプの商品であることを良いことに、「気づかぬ者は損をする」商品になっていたのである。これでは電話会社と同じではないか。

脱線した。
Z社の更新の案内葉書が届き、現在その検討をしているのだった。錆ついたIDで自分の契約サイトを開き、改めて中身を読む。

アホやからわからへん    orz

ここで記すのはあくまでも私なりの解釈の結果なので、それが正しいかどうかは保証しないし、商品の構成もたびたび変化するので詳細はご自分で確認願いたい。

他社も同様だと思うが、自動車保険と言ってもネット専用と電話で申し込む保険は異なる商品である。テレビなどで「お電話下さい」みたいな宣伝している文言の中には、あくまでも電話経由の申し込みでなければ適用されないサービスがある。
ネット契約の保険は確かに安いが、あまり居心地は良くない。完全な集金マシンに乗っている気分である。血の通った商品を買うためには自分の意識を高く保ち、わからないことがあれば電話をどんどんかけて聞くべきである。そのためにフリーダイヤルまで用意してくれているではないか。その上でネットで良いと分かれば別にネットだろうが電話だろうが構わないが、私のような地方住まいの人間にとっては、電話の対応が唯一その保険会社の姿勢を伺えるチャンスなのだ。

何故M社の次にZ社を選んだのか。

M社の保険を検討しているとき、よくある「一括見積りサイト」を利用した。数社から選択して最も安かったのがM社だったのだが、その契約開始後にだた一社、Z社だけが、「どうしてうちでは無かったのか、その理由をお聞かせ下さい。」と連絡があったのだ。M社の保険には7,8年入っていたが、それをずっと気にかけていた。そしてそれを見直す時期に来て、その数年前の一本の電話かメールだったか、を思い出し、ひいき目になった(笑)のである。そう、そんなものだ。一個人が商品を選ぶ理由は。無論、現行の商品が他社に比べて劣っていないのも重要だが。


さて、Z社の場合、ネットと電話の入り口で最も大きな差はロードサービスの有無である。これは昨年の申し込み時に知ったことだが、ネット加入の保険ならロードサービスは特約と言う形でサポートされるが、電話では商品名が「スーパー自動車保険」となり、これは予めロードサービスが含まれている商品になる。後者の方がオプションよりも安いか、安心だと感じてわざわざ電話申し込みをした記憶がある。
今回の継続手続きは、あくまで「スーパー自動車保険」に関するものなので、その手続きをWEBでしようが電話でしようがかのロードサービスは付いてくるそうだ。ならばWEBで手続きして安く上げるのが得策だろう。

と言っても、これまで無事故で来ているし、走行中にエンコした経験もないので、未だかつて一度も自動車保険のお世話になったことは無い。だからこそ事故は怖い。なので調べるのだ。


リスク細分型は申し込み時の用語説明がすべてである。個々の用語説明の中には重複する、もしくは似たような単語が何種類も出てきて混乱する。
Z社の場合最もわかりにくいと思うのは「自損事故保険」「搭乗者傷害保険」「人身傷害特約」の関係である。

まず「自損事故保険」オプションは、自賠責の適用外である相手に過失が発生しない事故に関わるもので、運転者と搭乗者が死傷したり損害を与えた相手や物の賠償にかかる保険である。上限1500万円がデフォルト(=何のオプションを付けなくても保険本体に括りつけられている項目)であり、それ以上は「人身傷害特約」オプションでカバーされる。「人身傷害特約」オプションを「なし」にするのと最低上限額「3000万円」に設定するのでは何と年額4440円(あ、等級が関係するかも。私は今19です)違う。「人身傷害特約」オプション「なし」の場合は「自損事故保険」が働き、「なし」以外は「自損事故保険」はキャンセルされてその「人身傷害特約」がとって代わる(原付特約時の原付事故時を除く)。この「人身傷害特約」を付加した場合、その説明には医療費や逸失利益が保障されるとある。
では「人身傷害特約」の医療費と、「搭乗者傷害保険」の医療「保険」金はどう異なるか。前者は治療費(および逸失利益)を支払うが、後者は部位別に頭蓋骨骨折○○円、腕の骨折なら△△円と支払い項目が決まっており、それらの内の最高額が支払われる。つまり、治療費には関係なく、プラスで支払われる分である。ではそこに金額の選択項目があるのは何故か。部位別なら上限500万だろうが3000万だろうが、500万以下なら変わりがない。頭蓋骨骨折で50万くらいであることを考えると、500万円より多い傷害は何だろうか。
例えば死亡時の支払い金だそうだ。
それから「自損事故保険」オプションは、限定的に他の車に乗っている間の事故にも適用される。そして死亡時、葬式代がカバーされる。死亡時の医療保険による支払い金は選択に応じた固定額、葬式代は逸失利益(事故が無ければ不要だった損害金)と見なされるのである。
…と、ここまで入り込むと忘れてしまうのが、これはあくまでも(自損事故の?)搭乗者保険オプションである、と言うことだ。もらい事故なら単純に相手の対人保険がこれに代わるのだろう。
医療保険金と治療費の関係など、保険会社にとっては当然の区別かも知れないが、素人には解り難い。

概ね次のような差に気をつけながら読んでいくと良いと思う。
(1) そのオプションは既存の保険条件を削除するのか追加するのか。
(2) そのオプションは、対象車両に乗っていた場合にのみ有効なのか、他の車両に乗っていても有効なのか。
(3) そのオプションは自損事故に関わるものなのか、相手がいる場合に関わるものなのか。
(4) そのオプションは、事故で被害を与えた相手に関わるものなのか、搭乗者(自分を含む)に関わるものなのか。
(5) そのオプションは自動車事故のみに関わるものなのか、通常の生活上の事故に関わるものなのか。
(6) そのオプションは既存の保険金額にプラスとなるものか。
他にも、弁護士費用とかファミリーバイクなどの特約、運転者限定などがあるが、これらは読めば分かる。


リスク細分型の良いところはその価格に加え、保険への関心を継続させることだと思う。生命保険などはその会社から勧められない限り(と言ってもより高額な商品の場合が多い)見直そうと言う気にならない。何にせよ、WEB経由でじっくり時間をかけてあれこれ悩める猶予があるのは良いことだ。
逆に先日入ったVmax用の(リスク細分型でない)A社の保険内容が気になってきた。

自動車保険はこれからもどんどん変わるだろう。自動車は「持てる者」の財産なのであり、その値段はどんどん上がる。外資系の方が世界基準でも商品価格を考えるだろうから、旧態依然の国内会社の保険よりは動的に中身が変わるだろう。端的な話、無事故なら一年に一つずつ上がる等級も、下から無事故で上がってくる場合と、事故を起こしてで上から降りてくる場合では、同じ等級でも掛け金が異なるようになるそうだ。
リスク細分型は、そんな情勢の中から保険会社が考えてくれた消費者に一円でも安く提供できる商品形態なのであり、それ故、会社の姿勢とかポリシーとかを無視しては選べない商品なのである。