さらばデスクトップ

長らくデスクサイドに鎮座していた3.8GHzのDell Precisionだったが、ベンチマークを引っ張り出すまでもなく、普段使う4コアのノートに比べ、アクションの全てが遅かった。通常2.2GHzしか出ていないプロセッサもマイクロソフトにかかれば結構有効利用されているようだ。

Windows8の発売時期、家内のノートPCが壊れた(驚くことに、壊れるまで使ったノートPCはこれが初めてである)のを口実にノートPCを一台新調した。DELLのデスクトップが国内メーカーをはるかにしのぐコストパフォーマンスであることは今でも全く疑ってないが、その秀でた設計の筺体も長らく開閉を続けた結果、メインボード上のパーツに不定期な接触不良を起こすほど歪んできていた。全体を見渡してみれば、今後古いカードを後生大事に使っていく気になれなかった。これまですべてのPCの変遷に立ち会い、ありとあらゆるカードを挿しては外してきた。このために増えたごみの量たるや、ゆうに段ボール一箱を超え、その廃棄のために金がかかる始末である。デスクトップを棄てればケーブルを含めてかなり身軽になれる。

確かに一部、極端なグラフィックカードを要求するゲームはある。それに乗ってやるのも一興だ。でも取りあえずノートにもNVIDIAは入っているし、余程の観賞眼が無ければ差はわからない。いや、そのカードが無ければ動かないってものもあるだろうが、それを基準にゲームを買うほど思い入れのあるゲームは無い。

で、新調したのが二匹目の鼠コンピュータである。
一匹目はフルHDの液晶を得るためには17inchの選択しかなかったが、今回は15inchのフルHDが選択できた。フルHDはこの時期最も拘るべき部分である。プロセッサは「最高の一つ下」で妥協したおかげで10万円を下回る。デスクトップの場合、この最後のプロセッサの詰めが、そのパソコンを使用できる寿命に年単位で効いてくるが、ノートの場合最初にダメになるのはバッテリーで、しかも短命なので最高のプロセッサ(でもデスクトップの最高には及ばない)を選ぶ理由は少ない。バッテリーと言えば新旧二つの鼠コンピュータのそれは同じもののようである。(印刷してあるラベルの色が異なるのだが、電圧も容量も型式も変わっていない。)これはスペアバッテリーがそれだけ長く生産され続けることになり、好ましい。
なぜ鼠コンピュータを選んで「しまう」のか。どうやらこの製品は昔からあったメーカー、飯山製のようだ。無論メーカーと言っても昨今の日本のPCはalmost中国製で、飯山電機がどの程度製品保証に関わっているのか、エンドユーザには明かされていない。因みにパソコン工房と言うマイナーなチェーン店のブランドとして全く同じ形のものもほぼ同価格で売られている。そのようなOEM(ODM?)供給先はたくさんあるのだろう。まあ、他の国内有名メーカーはもとより、DELLに比べても製品品質は良くないと思われる。それなりのメーカー品はそれなりに厳しい試験をまじめに行っている。ところが一台目の鼠、選択できるベストプロセッサを選んだ結果、バッテリだけなら1時間チョイしか稼働しない。4コアのプロセッサが100%の負荷の時のファンの回転音が大きく、また半田ペーストの匂いも漂ってくる。まあ、その大雑把と言うか、勢いだけで生きてます、的な存在が好きなのである。痛めつけて「消費」するのだ。ただの変態か。およそこの筺体、メインボードを100%使い倒した状態が出荷状態ってとこが、多分デスクトップならそこまでやる自分に合っている。しかも、同じ仕様ならDELLより1万円以上安い。

今、二台目の鼠ノートの横にはPrecisionに内蔵していた2台のHDDが外付けHDDケースに収まっている。デスクトップの環境はそのまま仮想化し、徐々に環境移設中である。奇しくも新調のノートにも二台のドライブが内蔵できる。
無論、このノート用にWindows8も購入した(例の1200円キャンペーン)。試しに入れてみたが、タブレットじゃなきゃメリット感じないし、いちいちあのスタート画面が出るのが面倒くさい。いくつかのドライバーは(Intel謹製のI/Fに関わらず)サプライされておらず、また、ストアからアプリを買うために本名登録を余儀なくされる。デスクトップから使うそれはいったい何が改善されたのだろうか。元々エアロなんて魯鈍なGUIは使ってないが、あのスタート画面がサーバ管理者に受け入れられるのか。
なので、その後丸一日かけてWin7クリーンに戻した。ブートがSSDなので、面倒だがゼロクリアして週末をつぶした。
ホント、私のPC歴の中ではPCを「待つ」時間がかなり含まれているだろう。夜なべしてHDDの初期化、OSの再インストールなんてのは今考えてみればかなり人生を浪費したことになる。

それでもまあ、この業界の末席にいる身としては新しい製品には無関心でいられない。何も努力しなくても、勝手に情報が集まってくる。今でもパソコン屋の拡張カードを手にとっては、あ、これは使えないんだった、と思うのは少々寂しくもある。