で、代案は?

 ちょっとネガティヴな話を書く。当たり前過ぎて掲載する価値すら見い出せないが、まあ、何か言っておく必要はあると思ったんだ。


 久し振りに秋葉を探索した。ほんの一時間だけ。特に何と言ってお目当てがあるわけでもなく、ただぶらぶら歩く。短い時間の探索は、いつも駅からラジオデパートの前を通り、パチンコ屋の角を曲がって秋月まで。
 震災の頃は秋葉も人が減ったと聞いたが、どうして以前と変わらない。こころなしか、メイド喫茶の呼び込みが多くなった気がする。メイドの格好も衣装と言うよりコスプレに近いナイロン生地特有の安っぽい光を放っている。ああ、これは世に言う飲み屋の客引きと同じ原理でお金を落とさせるものか。だとしたら、この路地に立つのはそれなりの華がある人なんだろうなあ、なんて思いながら通り越す。

 元値は幾らか知らないが、ガイガーカウンターの店頭チラシが目立つ。店頭で目に付いたものは最安でも49800円。玩具みたいな原色のプラスチックボディがお前らの足元を見てるぜ、って言っている。でも、放射線のセンサーだけでも雲母製ならば最低でも一万円ちょっとする。それなりの目盛りを付けられたものには多少の付加価値はあろう。でも五万円払っても、店頭野菜に測定器を近づけたらきっと店の人が怒り出す。農民も怒り出す。漁民も怒り出す。…「卑しい怒り」と呼んであげよう。

 この値段の測定器ではベクレルとかは計測できない。あくまでもセンサーが感知する感度内で、放射線が単位時間内に何回センサー内を通ったか、だけを勘定する「カウンタ」のはずだ。放射線の強さも種類(は、だいたい決まってるんだろうが)もからだに与える影響も測定できない。また、異なる機種で測れば、異なる値が出る。因みに「中国製」はこれができるそうだ(嘲笑)。
 ちゃんと測るならこの300倍ほどの金を払う必要がある。ポータブルじゃないし、レンタルの方が合理的だ。


…さて、と。本題。


 そりゃあ、今聞かれれば、どこの政治家も脱原発って言うよね。

 最近どこぞの市長や知事が脱原発って言った、って報道が頻繁にある。先日の新聞にも自民福島県連がそう言ったなんて報道があった。それまでの方針を深く反省したそうな。でも代案は示さない。

 谷垣なる人物に与するわけじゃないけど。

 決して原発推進派ではないけれど。

 結局のところ、日本は原発をやめても再利用施設を作らない限り、いずれ負の遺産になるんだし、再処理したら使わないと意味が無い。既に原発の継続利用は避けられないんだよ。海外から使用済みウランを買ってでも処理しないと、こんな島国で採算がとれるわけがない。設備を作り、その老朽化に応じて脱原発、ってのがスマートなんだろうけど、その時点の放射性物質はどうする?太陽に向けてロケットでも飛ばさなきゃ。重くてやっぱりペイしないだろうけど。

 声高に脱原発を叫ぶのも良いが、代案なしじゃ無視されて当然。何か看板掲げてシュプレッヒコールしている人とか、時節柄株主総会で喚いている人に聞いてみたいもんだ。「で、代案は?」
 批判だけならサルでもできる。

 電気会社の人は、じゃあ電気足りなくなってもストップする、って言ってる。ま、本音だろう。今わけもわからず発電と配電の分社化が叫ばれているが、それは発電会社にそれを実施する口実を与えるってことなのさ。元々原発で事故が起こったら国が全て賠償する、ってことで全ての原発建設は進んでいた。そんなことくらい私ですら知っているのに、ラッキーなことにたまたま民主政権だったから、そんな重要なことを予め無かったかのように、国が賠償するのがいかにも現政権の英断だと言っているようじゃないか。「賠償する」って、私達の税金なんだよ。
 原発の周りで叫んでる人、これまで受けた恩恵を金で返却してからやってくれ。冷たいようだが、今の状態じゃ無償の(と思っていた)恩恵を受けてしまった地元民にはそれを叫ぶ資格すら無い。

 電気が切れると打撃を受けるのは製造業だけじゃない。機械は動かなくなるんじゃなくて壊れる。物流にも影響が出るから商業系も打撃を受ける。物の値段は上がり、例えば運送トラックの修理部品なんかも入手し難くなる。人手でやれば失業対策にもなるじゃん、ってアホだわ。文明を知ったヒトはそれがない生活に戻れない。島国じゃ飢え死にだよ。労働で得られる賃金より物の値段が上がるから。それが資本主義の、文明の代償なのだから。

 そんなこと専門家が考えてよ、ってのはどんだけ自己チューよ。少なくとも義務教育課程を受けた人の発する言葉じゃない。アナタが金払って実践するんだよ。どうするのが良いか必死で考えるんだ。>おばちゃん達。

 家庭用太陽電池?風車?当面の免罪符的な響き。どちらもクリーンだが永久機関ではない。太陽電池は発電量が減るし、風車は錆びる、振動する、倒れる。家庭レベルの発電、今電力会社は買取を強制されているが、その電気はクズである。せいぜい静電気に毛が生えた程度。変電所までの送電中にロストしてしまう。やるなら全世帯義務化。従わなければ課税。工場など電気を使用する施設はその何十パーセントかは自家発電をせねば課税。+高額な電気料金。その障害になるのが、例のCO2排出枠。日本って土地無いんだから物を燃やすしかないのにね。海底のメタンハイドレイドは果たして使えるのかな。(結局使うしかないけどね。)思うよ、空き缶の方が鳩ポッポよりマシだと。
 それに今ヒトはマンションなる巣窟にすし詰め状態で住むことを選択している。たとえCO2排出枠がなくても、それじゃ煮炊きや暖房をマキに頼るなんてこともできない。一番効率的と思われた人の巣が、一番融通利かないのさ。

 そうねぇ、核濃縮プラントのように太陽電池再生施設なんてのを作れば…でも、それに使うエネルギーってペイするのだろうか。
 自動車はどんどん電化の途を辿っているが、ちょっと待って、と言いたい。ハイブリッドカーや電気自動車のモーターって、きっとダイナモより巨大だよね。そしてモーターって殆ど再利用されないよね。ハイブリッドの中古車って、電池どうなるの?交換するときっと安いクルマ一台分くらいだよ。日産は電池をレンタル化?環境負荷は一緒じゃん。今、ハイブリッドカーに乗っている人、どれだけの負荷をあなたの子供らに押し付けているか想像したかな。それともまた他人頼み?
(モーターは磨耗部品だけ換えれば100年以上もつんだから、中古車から新車に載せ換えてもいいはずだよね。)
 それに、今街を走っている10トントラックが電化される、ってあんまりイメージ湧かないんだよね。空荷だって相当電気食うよ、あれは。

 詰まるところ、使わないのが一番。動かないのが一番、食わないのが一番。身近でできるのはこれくらい。でもね、今のお役所の連中は「節水で水が使われなくなって収入が減ったから水道料金値上げします。」って言うんだぜ(某市議会であった話)。これが天下り団体の論理なわけ。電気じゃどうなるかな。

 そんなすべてを押しなべて、意味もわからず消費税10%でカバー、なんて勘弁して欲しい。米国より高いじゃん。あちらは少なくとも食料などの生活必需品にはかかってないからね。
…でもさ、国際的な責任は負わなくちゃ、とも思うわけ。だから他国より重い税を課せられる、と考えれば耐えられるかな。

 今の社会主義化政策の中でなら、そうねえ、狙いは相続税かな。上限で家一軒くらいにして、あとはばっさり国が取る。農地や山、海は国有化して、世襲や既得権は認めない。有料貸し出し(まあ、今の固定資産税+αくらい)。漁業者には船の相続まわりの法整備もプラスかな。つまりは殆ど全ての人間が近いスタートラインから走り始めるようにするわけ。殊更、農地の世襲は第一次産業への職業選択の自由を妨害している。でも貧しい家の子供が高い学校に入れないのは避けられないか。まあ、どんな世界でも貧富の差はあるものさ。本当に社会主義国家にしたいならこれくらいしなきゃ。政権の維持は見えないし、私も支持しないけどさ。>民主党



 でさ、これを読み直して私も思う。暗い先行き、こんな憂鬱な文章は読みたくない。そして実際かなり悲観的なんだ。
 こうした一切合財を、本当にアナタの子供に負わせるのかい?